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ドローンで焼き魚を配達する時代 中国で進む「低空経済」

物を運ぶドローン(2021年5月31日撮影、資料写真)。(c)CNS/陳骥旻

物を運ぶドローン(2021年5月31日撮影、資料写真)。(c)CNS/陳骥旻

【東方新報】ドローンを使った配達の実用化が進む中国。「ドローンの首都」と呼ばれる中国南部・広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)では、焼き魚をドローンで配達するサービスも始まっている。

 中国のフードデリバリー大手「美団(Meituan)」と焼き魚料理専門チェーン店「探魚」が共同で開始。インターネットで注文を受けると、調理した料理を保温箱に入れて「3キロ圏内15分」を標準として配達する。注文主は事前にショートメッセージで送られた番号を送信するか、もしくはQRコードをかざすことで、ドローンから料理を受け取ることができる。

 担当者は「ドローンの積載能力で配達できるのは1人分の焼き魚に限られますが、温かさや味を保ちながら消費者にタイムリーに届けることができます」と話す。

 世界最大手のDJIをはじめ多くのドローンメーカーが集まる深セン市。ドローン産業の年間生産額は同市内だけで2021年に600億元(1兆1763億円)近くに達しており、政府の認可を受けて既に多くの配達サービスが始まっている。美団は今年8月までに11の定期試験ルートを開設し、7万件5000件を配達。飛行時間は1万時間を超えている。物流配送大手の順豊エクスプレス(SF Holding)は60ルート以上、400平方キロの範囲でドローンによる宅配を行っており、今年上半期の飛行回数は2万回、飛行距離は16万キロを超えている。

 ドローンの活用は深セン市以外でも進んでいる。中国東部・江蘇省(Jiangsu)杭州市(Hangzhou)は今年5月、ドローンを使ってPCR検査の検体を輸送。高度90メートルの上空を複数のドローンが飛行し、1日合計約10万人分の検体を空輸した。従来の地上輸送より所要時間は3分の1に短縮され、配達員の感染リスクも低下した。

 中国西部の重慶市(Chongqing)両江新区は、深セン市とともに民間ドローン操縦航空試験区の認可を受け、大型ドローンの開発などに取り組んでいる。

 ドローンは交通網の渋滞に関係なく効率的な配達が可能で、人件費削減にもつながる。ドローンを活用したビジネスは「低空経済」と呼ばれ、産業全体のグレードアップ化を図ることが期待されている。【翻訳編集】 東方新報/AFPBB News|使用条件