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中国の科学者、パターンマッチング型の量子鍵配送を実現

パターンマッチング型量子鍵配送プロトコルの概念図。(c)Xinhua News

パターンマッチング型量子鍵配送プロトコルの概念図。(c)Xinhua News

【Xinhua News】中国安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)の中国科学技術大学はこのほど、同大の潘建偉(Pan Jianwei)、陳騰雲(Chen Tengyun)両氏らと清華大学の馬雄峰(Ma Xiongfeng)氏による共同実験で、パターンマッチングによる量子鍵配送(QKD)を初めて実現したと発表した。

 量子鍵配送は、量子力学の基本原理に基づいており、理論上は安全な秘匿通信を無条件に実現できることから、一貫して学術界が注目する研究テーマとなっている。

 パターンマッチング型QKDプロトコルは、馬氏の研究グループが2022年に提起した新たな測定デバイス非依存型のQKDプロトコルで、従来の非依存型プロトコルに比べ、符号化率を大幅に向上させることができる。ツインフィールドQKD、位相整合QKDと比較しても複雑なレーザー周波数同期技術や位相同期技術を必要としないため、コスト削減と実用化の難易度低減につながり、ノイズ環境に対してもより高い耐干渉性を持つ。

 潘氏と陳氏の研究グループは馬氏のグループが提起したパターンマッチング型QKDプロトコルに基づき、最尤推定法によるデータ後処理法を利用して正確に推定した二つの独立したレーザーの周波数差をパラメータ推定に用い、中国科学院上海マイクロシステム情報技術研究所の尤立星(You Lixing)氏のチームが開発した高効率の単一光子検出器と組み合わせて実験室の標準光ファイバーで100キロ、200キロ、300キロ、超低損失光ファイバーで400キロレベルの安全な符号化を実現した。従来の測定デバイス非依存型量子暗号実験に比べ、符号化率は大幅に向上し、300キロと400キロでは以前の実験より符号化率が3桁向上した。

 研究結果は、パターンマッチング型QKDがレーザー周波数同期技術や位相同期技術なしで長距離の安全な符号化を達成でき、MAN(メトロポリタン・エリア・ネットワーク)においても符号化率が高く、プロトコル実装の難易度を大幅に下げることを示した。これは将来の量子通信ネットワークの構築に大きな意味を持つ。

 研究成果はこのほど、国際学術誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載された。(記者/戴威)【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News