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黒い大地に新型農業 中国吉林でデジタル牧牛

中国にある牧牛場(2020年5月9日撮影、資料写真)。(c)CNS:于晶

中国にある牧牛場(2020年5月9日撮影、資料写真)。(c)CNS:于晶

【東方新報】食肉牛プロジェクトは1年前から、中国・吉林省(Jilin)の農村振興の新しい発展にとって重要な役割を果たしている。同省の牧畜業管理局の最新データによると、肉牛の飼育数は652万6000頭に達し、増加数は東北地区でトップ、全国でもトップクラスだ。

 この優秀な成果の背景には、同省の牧牛農家が近年ビッグデータプラットフォームを利用して、「クラウド牧牛」を実現していたことがある。伝統的農業とデジタルを融合させた科学技術の力で、肉牛の飼育にもまさに驚天動地の大変化が起きている。

■「吉牛雲」(jiniuyun)ビッグデータ農業、指先で牛を飼う

「吉林省千万頭肉牛工程建設」プロジェクトの加速的な推進のため、2021年『「吉牛雲」(吉林)農業科技集団有限公司』は、全国に先駆けて「吉牛雲」ビッグデータプラットフォームを立ち上げた。物流インターネット、クラウド計算、ビッグデータ、ブロックチェーンなど先進技術を利用して、データを中核とした肉牛産業ビッグデータ資源庫を構築し、肉牛の生産、流通、取引、「金融包摂」(関係者全てが利用できる金融サービス)、政府の監督管理、屠殺加工、製品取引など各ブロックの情報を一連的につなぎ合わせている。肉牛に関連する全産業データの深いレベルでの融合が実現した。

 吉林省大安市(Daan)の「大安市政博養殖農民専業合作社」では、100頭の牛が耳に標識をつけてのんびりと放牧場を散歩していた。実はこの小さな標識には知恵が満載されており、合作社の安定した経営と密接に関係している。

「以前は、牧牛はとても時間と労力がかかる作業だったが、今や汚くて苦しい仕事ではなく、楽しく快適で、事務所に座って指先を動かすだけで、飼育、健康、病気などのデータがリアルタイムに把握できる」、合作社の李政(Li Zheng)理事長はこう説明する。

 「吉牛・雲健康」プラットフォームを開くと遠隔監視ができ、牛の重要な体温データを24時間収集し、病気の早期発見、早期警告、早期対応が可能となった。

  今年の7月時点で、「吉牛雲」のミニプログラムに登録されている牛は418万9000頭、飼育場34万戸、繁殖改良員2499人、防疫員5209人に上る。

■「吉牛幇」(jiniubang):デジタル農村サービスステーション、サービスを農村の隅々まで

 同省の肉牛産業のデジタル化は、全体的に見てまだ始まったばかりの段階で、デジタル化への構造転換には多くの困難と挑戦すべき課題がある。肉牛産業のデジタル化を農村の底辺レベルにまで普及させ、肉牛飼育の全ライフサイクルの各段階に対する科学技術サービスレベルを向上させることが、新たな課題となっている。

「吉牛雲」をアップロードして2年が経過した今年、省は「吉牛幇」デジタル農村サービスステーションプロジェクトを計画している。省全域に3000か所のサービスステーションを設置し、飼育農家に向け政策宣伝、技能訓練、融資保険、母牛交配、健康管理、獣医サービスから屠畜(とちく)、付加価値製品加工まで、肉牛飼育に関連する全産業への一貫チェーン型サービスを提供し、全方位的な問題解決に取り組むという。

「吉牛幇」農村サービスステーションは、農民が見て触れることができる形式で、肉牛産業のデジタル化応用を底辺レベルにまで浸透させることができるという。帰郷して起業する大学生や畜産技術専門家などのチームが、「一村一名大学生獣医計画」と連携して、「滴滴」タクシー(DIDI TAXI)の配車手配方式を参考に、「ワンクリック呼び出し」の方法で、飼育農家に向けて総合的なサービスを提供するとしている。

「サービスを農村の隅々にまで深く浸透させ、生産、管理、製品流通などの過程で生産農家から生み出される大量の情報と数値データを効果的に統合し、完全な信用体系を構築することで、産業チェーンの情報サービスデータ庫の共有利用を実現します」、同集団の李健佳(Li Jianjia)董事長はこう抱負を語った。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件