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パガニーニが愛したバイオリンの秘密に迫る 欧州放射光施設で分析

仏グルノーブルの欧州放射光施設(ESRF)で分析が進められているバイオリン「イル・カノーネ」(2024年3月11日撮影)。(c)JEAN-PHILIPPE KSIAZEK : AFP

仏グルノーブルの欧州放射光施設(ESRF)で分析が進められているバイオリン「イル・カノーネ」(2024年3月11日撮影)。(c)JEAN-PHILIPPE KSIAZEK : AFP

【AFP=時事】数十億円の価値を持つ18世紀のバイオリンにX線を照射し、美しい音色の秘密を解明するプロジェクトが現在、フランスで進められている。研究者が11日、明らかにした。

 分析の対象となっているのは、1743年にジュゼッペ・バルトロメオ・グァルネリ・デル・ジェス(Giuseppe Bartolomeo Guarneri del Gesu)が製作したバイオリン。イタリアの作曲家でバイオリンの名手だったニコロ・パガニーニ(Niccolo Paganini)が数十年間好んで弾いていた名器で、力強い音色から「イル・カノーネ(Il Cannone、大砲)」の愛称を持つ。

 1840年にパガニーニが亡くなってからは、故郷ジェノバ(Genoa)に寄贈され、現在は、同市で開催されるパガニーニ国際バイオリン・コンクール(Premio Paganini)の優勝者をはじめ、世界最高峰の演奏家のみに時折貸し出されている。

 分析が行われているのは、仏南東部グルノーブル(Grenoble)にある欧州放射光施設(ESRF)。プロジェクトの責任者、ルイジ・パオラジーニ(Luigi Paolasini)氏によれば、今回ジェノバからの移送には3000万ユーロ(約48億円)の保険が掛けられた。

 ESRFは楽器をスキャンし、使われている木材の細胞構造まで記録した。今後は、3Dモデルを作成して、1ミクロン、つまり100万分の1メートルまで拡大できるようにするという。

 ESRFの研究者、ポール・タフォロ(Paul Tafforeau)氏は「第一の目標は保存」だと言う。「修復する必要性が生じた場合に詳細を知っておくことができる」

 もう一つは、今回の非破壊分析を通じて、この楽器が奏でる美しい音色の秘密を解き明かすことだ。 タフォロ氏は、「このデータを基に解明に近づきたい」と話し、「このバイオリンを対象に調査を行えるなどまるで夢のようだ」と続けた。

 詳細な分析結果が出るまでには数か月かかるという。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件

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