【新華社北京5月20日】中国の北京航空航天大学の科学研究チームがこのほど、マイクロパワー技術で画期的な成果を上げるとともに、生体工学に基づく「バイオニック昆虫」を開発した。これは無線で操作できる昆虫サイズ(2センチ)の自走式ロボットで、研究成果はこのほど、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。
論文の共同責任著者で同大学エネルギー・動力工程学院の閆暁軍(えん・しょうぐん)教授によると、この昆虫ロボットは体長2センチ、幅1センチ、重量1.76グラムで、垂直投影面積は指の爪2枚分しかなく、高速移動、高耐荷重性、無線操作が可能という特徴がある。
通常のロボットはモーターで駆動するため、高いエネルギー供給が必要だが、マイクロロボットの内部は大容量のバッテリーを搭載するのに十分な空間がなく、電力を継続供給するには外部配線が必要なため、自由な動きが制限される。同研究チームは長年の研究の末、直線式駆動やフレキシブルヒンジ伝動に基づく新動力システムを開発し、マイクロロボットからモーターと外部配線を取り除くことに成功した。
研究チームのメンバーで同大学の劉志偉(りゅう・しい)助理教授は「昆虫ロボットの内部にエネルギーや制御、通信、センシングシステムを組み込んだ。直線式駆動装置が内部の小型電池からの電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、機械振動を外部に出力する。フレキシブルヒンジ伝動メカニズムが機械振動を昆虫の脚の周期振動に変換し、その振動で昆虫全体を動かし、高頻度の跳ねる動きを実現した」と語った。
研究チームのメンバーで同大学博士課程に在籍する詹文成(せん・ぶんせい)さんによると、研究チームはバイオニック走行も設計し、昆虫ロボットの歩調や歩幅を適応調整することで、高荷重状態での高速爬行(はこう)を実現した。運動軌道を正確に制御するため、昆虫ロボットの両脚の振動数の差に基づく制御方法を打ち出している。
閆教授によると、このマイクロパワー技術の開発に成功したことで、災害時の捜索・救助活動、大型機械設備やインフラの損傷検知など、マイクロロボットの開発と応用が幅広く進むことが期待できると語った。(記者/趙旭)【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News|使用条件