【AFP=時事】欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げた宇宙望遠鏡「ユークリッド(Euclid)」の観測データから、新たに7個の「浮遊惑星」が確認された。ESAは先週、昨年7月に打ち上げたユークリッドの科学的成果を初めて発表。無数の銀河や星の誕生領域、天の川銀河と同じ渦巻き銀河などの画像が公開された。
新たに確認された浮遊惑星は巨大ガス惑星で、その質量は木星の4倍以上。約1500光年の距離にある地球に最も近い星形成領域、オリオン大星雲(Orion Nebula)で見つかった。ユークリッドはまた、過去に検出された浮遊惑星数十個の存在も確認している。
地球は太陽という恒星の周りを回る惑星だ。だが浮遊惑星は地球とは異なる。恒星の周りを周回することはなく、1日や1年といった周期もない永遠の闇の中にある。
スペインの天文学者エドゥアルド・マルティン(Eduardo Martin)氏は、恒星の光を反射しない浮遊惑星を見つけるのは、「干し草の山から針を見つける」ようなものだとAFPに語った。
それでも今回ユークリッドが発見したような、若くて高温な浮遊惑星は比較的見つけやすいのだという。
一部の研究は、浮遊惑星は恒星の20倍ほどの数が存在しているとしている。これに従えば、地球のある天の川銀河だけでも数兆個の浮遊惑星がある計算になる。
2027年に打ち上げが予定されている米航空宇宙局(NASA)のローマン宇宙望遠鏡(Nancy Roman Space Telescope)は、さらに多くの浮遊惑星を発見するものと期待されている。
■生命存在の可能性は?
浮遊惑星は地球外生命体を探すかぎともなり得る。
恒星からの熱が存在しない浮遊惑星では、極寒の世界が広がり、表面は凍り付いていると考えられている。そのため、生命を支えるエネルギーが存在するのであれば、それは天体内部から発生しているということになる。
これは、太陽の光が届かない、地球の熱水噴出孔周辺の状況と似ている。こうした考えについて、英ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary University of London)の天文学者ギャビン・コールマン(Gavin Coleman)氏は、最良な条件が整っている場合でも、浮遊惑星の極度に孤立した環境では、細菌や微生物といった生命を支えることしかできないだろうと予想する。
それでも浮遊惑星の世界は奇妙で「畏怖と神秘の感情」をかき立てるとコールマン氏は言う。「私たちは皆、空に太陽があることを当たり前として育ってきたので、地平線の上に他の星が見えず、ただ宇宙空間を漂っている星には興味をそそられる」と同氏はAFPに語った。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件