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中国の研究者、1年半凍結された人間の脳の蘇生に成功

中国にある書店に並べられている「三体」の小説(2019年7月19日撮影、資料写真)。(c)CNS:張煒

中国にある書店に並べられている「三体」の小説(2019年7月19日撮影、資料写真)。(c)CNS:張煒

【東方新報】中国・上海市の復旦大学(Fudan University)の研究チームが、18か月間も冷凍保存されていた人間の脳を蘇らせるという快挙を成し遂げた。このブレークスルー的な偉業は、これまでの冷凍保存技術の記録を塗り替え、権威ある米国の科学雑誌「セルリポーツ(Cell Reports)」にも掲載された。

 邵志成(Shao Zhicheng)特任教授が率いる研究チームは、「MEDY」と名付けた革新的な凍結保存法を開発し、神経細胞の構造的完全性と機能性を保持することで、さまざまな脳組織やヒト脳標本の保存を可能にした。この画期的な前進は、神経疾患の研究のみならず、人体凍結保存技術の未来に大きな扉を開いたものと言える。

 英国バーミンガム大学(University of Birmingham)の著名な老化遺伝子研究者ジョアン・ペドロ・マガリャエス(Joao Pedro Magalhaes)教授は「細胞死を防ぎ、神経機能の保存に役立つこの技術開発は奇跡的としか言いようがない」と、深い驚きと賞賛を示した。「将来的には末期的症状の患者が凍結保存され、治療法の出現を待つようになるかもしれないし、宇宙飛行士が恒星間飛行のために冷凍保存され、遠い銀河の目的地で目覚めるかもしれない」、彼はこの技術の可能性をこのように高く評価している。

 このニュースはソーシャルメディア上で熱狂的な議論を巻き起こし、多くのネットユーザーが中国の作家・劉慈欣(Liu Cixin)のSF小説「三体(Three-Body Problem)」で描かれた概念との類似性を指摘している。未来の人体冷凍保存技術の実現可能性に対する関心は急上昇し、人体実験に参加する意思を表明する人も現れ、未来にロボットのボディの中で目覚めることを希望しているという。

 あるネットユーザーは「後は、光速の1パーセントの速度で飛行し、スペースデブリを避けながら自力で何千年も、何百万年も活動できる探査機があれば、『三体問題』が描いている世界に到達できる」と投稿した。

 今や現実とSF小説の境界線が曖昧となった未来が垣間見える。しかしそれに連れ、また新たな疑問も浮かび上がってきた。 全ての情報と記憶も不滅に保存されるのだろうか?また、冷凍保存から蘇生した時に我々には本当に魂があるのだろうか?【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件