【KOREA WAVE】手術後、どれほど痛いか、患者の表情だけで推し量る……。こんな人工知能(AI)モデルを韓国・盆唐ソウル大学病院麻酔痛症医学科の研究チームが開発し、その有用性を立証した研究結果が最近、「大韓麻酔痛症医学会誌」に掲載された。
痛みの表現は、患者の健康状態を反映する重要な情報の一つだ。患者の安全と迅速な回復のためには、医療スタッフの適切な評価と迅速な対処が必要とされる。手術患者の最大71%が手術後に痛みを経験することが知られているが、痛みの程度は非常に主観的で、小児や精神疾患者らは自分の痛みを表現しにくく、痛みの有無・強度などの正確な予測には限界があった。
今回、研究チームは、痛みに対して反射的に現れる表情、生理的信号などを利用して術後の痛みを評価し、迅速かつ客観的に予測するAIモデルの開発に着手した。研究チームは全身麻酔で胃切除手術を受けた患者を対象に「手術前に痛みがない状態」「手術後の麻酔回復室への入室直後」「患者が鎮痛剤が必要な程度の痛みを表現した時」「鎮痛剤の投与後、痛みが軽減された状態」それぞれの表情を撮影した。加えて、通常、痛みのモニタリングのために使用される鎮痛痛覚指数(ANI)と活力徴候のような生理的信号、患者の主観的な痛みの強度を表現する数値的評価スケール(NRS)も測定した。
その後、収集したデータを多様に組み合わせてAIモデルを構築し、手術後の痛みの強度を予測できるかを検証した。その結果、表情データだけを学習させたAIモデルが、手術後に発生した重い痛みを非常に高い精度で予測し、生理的信号に基づくモデルより性能が優れていることがわかった。
実際、表情だけを学習させたAIモデルの予測精度が「AUROC 0.93」と最も高く、表情と活力徴候データを一緒に学習したモデル「AUROC 0.84」が続いた。AUROCはAIモデルの予測精度を示す性能指標で、1に近いほど性能が優秀とされる。
今回の研究論文を手掛けたク・ボンウク教授は「麻酔回復室で迅速かつ正確に患者の痛みを評価するAIを利用すれば、適切な痛み管理治療により手術患者が『回復の質』を引き上げるのに寄与するだろう。今回開発したモデルは手術後の痛み患者だけでなく、特にコミュニケーションが難しい患者の痛み評価に大きく役立つだろう」と述べた。(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News|使用条件