【Xinhua News】中国の科学者がこのほど、約3500年前のケフィアチーズの試料3個に古代微生物ゲノム研究を行った。この研究は、人類がケフィア粒中の乳酸菌ラクトバチルス・ケフィラノファシエンスを応用、普及、順化した歴史を明らかにし、人類の進化と環境との相互作用を理解する上で新たな視点を提供した。
研究は、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の付巧妹(ふ・こうまい)研究員の率いる研究チームが、中国科学院大学人文学院の楊益民(よう・えきみん)教授、新疆文物考古研究所、新疆大学、国家文物局考古研究センター、北京大学第3医院などと共同で完成させた。古代の乳製品の遺物に世界で初めて行ったメタゲノム研究であり、研究成果は9月25日、国際学術誌「セル」電子版で発表された。
この研究の試料は、新疆ウイグル自治区のタリム盆地にある小河墓地から出土したケフィアチーズ3個。研究チームは、乳酸菌全ゲノム遺伝子座プローブを独自に設計することで、チーズの試料から古代ケフィアチーズに含まれる良質の乳酸菌ゲノムを抽出した。
乳製品の発酵技術の普及には、人類の移動と交流が大きく関わってきたが、その過程で発酵に重要な役割を果たす乳酸菌の進化が促進された。
発酵に用いられるラクトバチルス・ケフィラノファシエンスには二つに枝分かれした系統が存在し、この研究で見つかった乳酸菌は主流のコーカサス系とは異なることから、ラクトバチルス・ケフィラノファシエンスの新たな伝播(でんぱ)経路が明らかになった。
付氏は「これは、その共通祖先が最初に順化した後、人々の移動経路の違いにより、異なる集団間で拡散したためと思われる。当時の人々の異なる集団が発酵微生物を応用、順化する過程で、さまざまな移動や交流が起きたこと示している」と語った。
同分野に詳しい国際的な専門家は、この研究は中央ユーラシア草原に暮らしていた人々の移動や交流、微生物順化の歴史に新たな理解をもたらすと評価した。【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News|使用条件