【AFP=時事】家事をこなす家電、ドライバーお気に入りのカフェを知っている車、人を喜ばせるロボットペット──。7日に米ラスベガスで開幕した世界最大級の家電見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」では、人工知能(AI)を搭載したこんな製品が注目を浴びそうだ。
韓国の家電大手LG電子は6日のメディアデーで、「Affectionate Intelligence(愛情深い知能)」というコンセプトを発表。睡眠の質を追求したり、降雨予報時に傘を忘れないようにアドバイスしたりするといった、人を見守る家電を提案した。
「LGでは、私たちの周りの物理的な生活空間にAIをシームレスに統合している」。曺周完(チョ・ジュワン)最高経営責任者(CEO)は、「私たちは空間を単なる物理的な場所としてではなく、家庭、モビリティー、商取引、さらには仮想空間といった、全体的な体験が生まれる環境と捉えている」と説明した。
開幕前から、電動ローラースケート、実物大のリモートコラボレーション用ホログラムブース、ライトが上部に取り付けられた「歩くテーブル」のような形態のロボットなどが、訪問者を引きつけていた。大半の製品が、AIによる能力向上をうたっている。
市場調査会社クリエーティブ・ストラテジーズのアナリスト、キャロライナ・ミラネージ氏は「搭載していようとなかろうと、誰もがAIについて話すことになるだろう」と、AFPに話した。長年裏方の存在だった半導体メーカーは、エヌビディアやその競合他社がガジェットの処理能力を支えるプロセッサーを誇示するなど、主役の一角になるとみられる。
CESは大規模な自動車の展示会でもある。自動車メーカーやソフト・部品メーカーが、自動運転や自動安全機能を披露する。
市場調査会社テクスポネンシャルのアナリスト、エービー・グリーンガート氏は「CESはこのところ自動車ショーと化しており、今年はその傾向が一段と強まっている」と指摘した。電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスクCEOとドナルド・トランプ次期米大統領との親密な関係は、自動運転車両分野での規制緩和を予想させるものとなっている。
市場分析会社エンダールは、日常生活の一部になっているとはまだ言えないが、空飛ぶ車も一部出品されるだろうと予想。「実際に購入できる車両を見ることができるはずだ」としている。ただし、「飛行について承認を得ることは、また別の問題だ」とも述べた。
タスクを管理してくれるロボットや、癒やし系ロボット、かわいいペットロボットも、展示品の一部だ。心を落ち着かせるためのガジェット、美容のためのガジェット、良質な睡眠を助けるガジェットなども展示されており、技術が生活のあらゆる側面に浸透し続けている。グリーンガート氏は「デジタルヘルスは大きな分野に成長するだろう」と話した。
トランプ氏が主張している関税引き上げは、輸入品のコスト押し上げ要因になるため、米国市場をターゲットにしているCESの参加者にとっては関心事項だろう。
エンダールは、多くの展示品には輸入部品が含まれているため、トランプ氏がカナダや中国、メキシコからの輸入品に高関税を課せば、価格は大幅に押し上げられると予想。「多くのCES出品者は懸念するだろう」としている。ただ、グリーンガート氏はこうも指摘する。「(関税をめぐる)話はひそかに行われることになるだろう。次期政権を怒らせないように」【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件