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【AFP=時事】小惑星ベンヌから採取した試料に「生命をつくる基」となる物質が含まれていたとする2つの研究論文が29日、発表された。
地球上の生命がどのように始まったのかという長年の疑問に光を当てる発見だ。「生命をつくる基」の物質は、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「オシリス・レックス」が地球近傍小惑星「ベンヌ」から2020年に採取した120グラムの試料の中に含まれていた。
ベンヌから採取されたサンプルは23年、地上約3億キロの距離から投下カプセルで回収された。これまでの分析で、試料には水や炭素が含まれていたことがすでに判明している。
ベンヌは約6500万年前に、約45億年前の母天体の破片から形成されたと考えられている。さらなる研究で、ベンヌの母天体にはかつて液体の水があり、それらの液体の水が蒸発することで塩と鉱物の「塩辛いスープ」が残ったことが示唆されている。
論文の共著者でスミソニアン国立自然史博物館の隕石(いんせき)学の専門家であるティム・マッコイ氏は、「われわれは、生命への道の次のステップを発見した」と、博物館が発表のプレスリリースで述べた。
博物館によると、鉱物の中には、これまで地球外から採取した試料では見られなかった化合物も含まれていたという。研究論文の一つは、分析の結果、試料は「地球外起源」であることを強く示唆しており、地球上の生命の起源が宇宙空間からもたらされたという説を裏付ける可能性があるとしている。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件