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「ショート動画より面白い」売り上げ693%増 韓国Z世代で流行中の「筆写」

読者提供(c)MONEYTODAY

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【KOREA WAVE】韓国でオンラインの「書き写し(筆写)」コミュニティがZ世代の間で人気を集めている。SNSやショート動画に疲れた若者たちは、手書きで文字を綴ることに魅力を感じ、独自の表現方法として筆写や創作活動に熱中している。

 ある会社員は、毎晩就寝前にペンを手に取り、書籍を開く。オンラインの「筆写コミュニティ」で共有するための文章を探すのが日課だ。彼女が参加するチャットグループでは、5人のメンバーが毎日手書きの文章を写真で投稿する。詩から評論、短文から長文まで、さまざまなスタイルの筆写が交わされる。彼女は「毎日の積み重ねで、自分の考えや好みが明確になった」と語る。

 一方、あるエンジニアは最近「創作モノづくりコミュニティ」に参加し、独自の本を出版した。出版経験を持つ主催者のもと、約10人のメンバーが2カ月かけて執筆し、それをまとめて出版したという。参加費用はオフラインミーティング4回と出版費用を含めて15万ウォン(約1万6000円)だった。彼は「自分の経験を文章にし、他者と共有できたことが何より嬉しい」と話す。

 こうした流れを受け、筆写本の売り上げも急成長している。教保文庫によると、2024年のZ世代の筆写本の購入数は前年に比べて693%増加した。従来の文書力向上を目的とした筆写本に加え、歌詞の筆写本や憲法筆写本など、ジャンルを超えた様々な書籍が人気を集めている。

 特に、昨年12月3日の「非常戒厳」宣布以降、憲法筆写本の需要が急増している。戒厳令発表前(11月27日~12月3日)に比べ、発表直後(12月4日~10日)には販売量が183%増加した。さらに、筆写に必要な文房具の売り上げも前年比10.9%増加している。

 オンライン筆写グループに参加している会社員は「ショート動画やSNSの表面的なコンテンツに疲れ、毎日手書きで文章を共有することで、より真剣なコミュニケーションを楽しめる」と話す。

 筆写だけでなく、自分で創作した文章を公開する「書く文化」も広がっている。韓国のモイム(交流会)プラットフォーム「トレバリ」や「ネットフルヨンガ」では、エッセイ、独立出版、演劇脚本、ビジネスライティングなど、さまざまなジャンルのライティングコミュニティが活発に開催されている。トレバリでは、読書とライティングを組み合わせた約1500のコミュニティが運営されており、昨年の累計会員数は11万人を突破した。

 ネットフルヨンガのライティンググループに参加するある会社員は「同じテーマでも、参加者ごとに異なる視点や経験が反映されるため、新しい発見があって面白い」と話す。

 最近では、若手作家たちがSNSを通じて筆写やライティングの「ワークショップ」を開催するケースも増えている。例えば、作家のアン・ダム、ヤン・ダソル、ハ・ミナらが主催する「筆写講座」が好評で、Googleフォームなどを活用しながら受講者を募集している。

 この講座では、毎週1作品を執筆し、メンバー同士で相互フィードバック(合評)をする。全4回のうち3回がオンライン開催のため、負担が少なく、受講料が1回3万ウォン(約3200円)以上にもかかわらず、募集開始と同時に満席になるほど人気を博している。

 文化評論家のキム・ソンス氏は「Z世代にとって最も重要な価値観の一つは個性と多様性」と分析している。「筆写で自分らしい手書きの表現を見せたり、創作ライティングを通じて自分の経験や考えを発信したりすることが、彼らにとっての自己表現の手段となっている」と述べた。(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News|使用条件