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上海初のヒューマノイドロボット量産工場 年間数千台を目指す

智元ロボットの張江データ収集センターにて、データ収集スタッフと協力して作業を行う複数の人型ロボット「見習い」(2025年2月18日撮影、資料写真)。(c)CNS:湯彦俊

智元ロボットの張江データ収集センターにて、データ収集スタッフと協力して作業を行う複数の人型ロボット「見習い」(2025年2月18日撮影、資料写真)。(c)CNS:湯彦俊

【東方新報】上海市にある初のヒューマノイドロボット量産工場「智元ロボット製造工場」に足を踏み入れると、未来の世界に迷い込んだかのような光景が広がっていた。エンジニアたちはヒューマノイドロボットの各種パーツを順序よく組み立て、数百台の「新米」ヒューマノイドロボットが整然と並び、動作テストを受ける準備をしていた。

 上海自由貿易区の臨港新エリアに位置するこのロボット製造工場は稼働から数か月しかたっていないが、2024年にはすでに1000台のヒューマノイドロボットがラインオフ(完成)しており、2025年には年間数千台の生産を目指している。

 業界関係者は、2025年がヒューマノイドロボットの「量産元年」になると予測しており、この産業は超線形的な速度で飛躍的な成長を遂げている。上海には高度な製造業の基盤、長江デルタ地域の充実したサプライチェーンと産業インフラ、そして豊富な大学資源と人材があり、これが成長加速の基礎となっている。

 智元ロボット製造部の総経理、張紹政(Zhang Shaozheng)氏は次のように語った。「上流のサプライチェーンが成熟しているおかげで、これほど短期間でヒューマノイドロボットを製造することができました。ヒューマノイドロボットの多くの重要な部品は、新エネルギー車の精密加工技術と共通点が多く、これらの精密部品をロボット製造に容易に転用することができました」

 ロボットのボディを作ることは第一歩に過ぎない。智元ロボットの張江データ収集センターでは、レストラン、カフェ、家庭などの日常生活シーンを再現し、100台の「ロボット見習い」がデータ収集担当者と協力して、日常の動作を模倣しながら1日あたり1000件以上の操作データを収集している。

 例えば、簡単な「水を注ぐ」動作を学習させるためには、約100件の高品質なデータが必要となるという。

 智元ロボット研究院の執行院長、姚卯青(Yao Maoqing)氏は、「これらのロボット見習いが現実のシーンで収集した動作データはクラウドにアップロードされ、さまざまなタスクモデルのトレーニングに利用されます。最終的には、一般化学習を通じて得られた汎用モデルがすべてのロボットに適用される予定です」と語った。

 モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)が最近発表したグローバルヒューマノイドロボット分野の上場企業トップ100リストには、広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)を拠点とするロボット開発企業「深セン市優必選科技(UBTech Robotics)」やNEV市場のリーディングカンパニー「比亜迪汽車(BYD)」など37社が名を連ねている。中国電子学会は、2030年までに中国のヒューマノイドロボット市場規模が8700億元(約18兆326億円)に達する見込みだと予測している。

 現在、製造業は繰り返し作業が多いため、ヒューマノイドロボットが最も適した「初心者エリア」とされている。ヒューマノイドロボットの柔軟性は、従来の自動化技術と人間の労働力の間にあるギャップを埋めることができる。

 姚卯青氏は、物流業界を例に挙げて次のように説明した。「多くの企業はすでにインテリジェント倉庫システムを大規模に導入しています。無人搬送車(AGV)とスマートシェルフの協調作業によって、精密な位置特定と全自動輸送を実現しています。しかし、商品のサイズや形状が異なるため、リアルタイムで配置を調整したり、失敗時に再計画・修正を行う『パッキング』作業は、AIの能力を必要とします。これはヒューマノイドロボットが最も得意とする分野です」と語る。

 姚氏はさらに、新世代の技術労働者は、単調で繰り返しの多い作業から解放され、ロボットの管理やソリューションの提供など、より高度な業務に移行する可能性があると述べた。

 上海におけるヒューマノイドロボットの量産と成長は、中国のハイテク製造業の未来を象徴している。今後、この分野の技術革新と応用の広がりにより、ヒューマノイドロボットは私たちの日常生活や産業の中でますます重要な役割を果たすだろう。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件