春節に泰山を登りながらロボット外骨格テストを行うスタッフ(提供写真)。(c)CNS
【東方新報】中国・山東省(Shandong)泰安市(Taian)の大学生、趙(Zhao)さん(23歳)にとって、険しい地形で知られ、7000段以上の階段があることで有名な人気観光スポット「泰山(Tanshan)」を登るのは、毎回疲労困憊する大変なことだった。
ところが、今年の春節(旧正月、Lunar New Year)の登山は「ロボット外骨格装置」のおかげで一変した。
趙さんは「ロボットがほとんどの動作をしてくれている感覚でした。とても楽な登山でした。スタッフの指導を受けてボタンを数回押すだけで、この装置が自動的に私の歩行ペースに合わせて動作を調整してくれました。とても簡単でクールです」と振り返る。
重量わずか1.8キロのロボット外骨格は、広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)に拠点を置く「深セン肯綮科技(Kenqing Technology)と提携した「泰山文化旅遊集団(Taishan Cultural Tourism Group)が開発した装置だ。急な斜面でも楽に登れるように設計されている。
このロボット外骨格は、利用者の腰と脚にぴったりとフィットし、高度な人間工学、パワーエレクトロニクス、人工知能アルゴリズムを統合して、利用者の動きを感知し、地形や歩幅に合わせて歩行の補助を行う。
1回の充電で5時間以上連続して使用でき、急勾配の地形を約14キロ進むことができる。過度な肉体的負担を感じることなく山の楽しさを満喫したい人にとっては、理想的パートナーとなる装置だ。
このハイテク機器10セットが春節に泰山で試験導入され、高齢者や若い冒険家、体力に自信のない人など、幅広い年齢層の観光客にたちまち人気となった。
「泰山文化旅遊集団」の王厚哲(Wang Houzhe)副書記は「春節休暇中に40万人を超す観光客が泰山を訪れ、ロボット外骨格に予想を上回る熱烈な反響がありました。来訪者はこの技術に興味津々で、大きな興奮が感じられました。高齢の家族や体の不自由な家族のために購入したいと問い合わせてきた人たちも大勢いました」と語った。
試験導入の成功に勇気づけられた王氏は、3月までに200セットを販売し、6月までに生産規模を3000セットに拡大する計画があると紹介する。
また泰山来訪者は、距離と時間に応じて60元(約1243円)から80元(約1658円)でレンタルすることができるという。
泰山の登山ルート沿いのサービスポイントでは、バッテリーの交換やメンテナンス、相談することが可能だ。さらに、GPSが搭載されたこの機器は、管理チームによってしっかりと監視されている。
王氏は「登山以外にも、フィットネスやウォーキング、ランニング、自宅や職場の階段の昇り降りに使用できるなど、幅広い用途に使えます。また、1セット当たりの推定コストは1万元(約20万7271円)以下です」と話す。
大学生の趙さんは、「価格が手頃なら、祖父母に買ってあげたい」と言っている。
泰山の観光部門では、以前からAI技術の導入が進められていた。ロボット犬が導入され、GPS搭載のスマートオーディオガイドも開発された。
ちなみに、中国情報通信技術研究院によれば、人型ロボットは、パソコン、スマートフォン、新エネルギー自動車に次ぐ次世代の主要な技術プラットフォームになると予想され、1兆元(約20兆7271億円)規模の市場を形成する可能性があるという。人型ロボットは、特に製造業や農業における労働力不足や高齢化の問題解決に役立つことが期待されている。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件