スペイン・バルセロナで開催中の世界最大のモバイル見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」の会場(2025年3月4日撮影)。(c)Manaure Quintero:AFP
【AFP=時事】スペイン・バルセロナで3日、世界最大のモバイル機器見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」が開幕した。今年のテーマは、人工知能(AI)がガジェットを変革する可能性への期待と、米国による貿易摩擦への懸念が交錯する中での開催となった。
毎年約10万人が参加するMWCは、初日早朝から大勢の来場者が最新のデバイスや技術革新を求めて展示ブースを訪れ、業界の未来をめぐる議論に参加した。
MWCには多くの中国企業が出展している。米トランプ政権は4日から、中国に対し、今年2月に発動した10%の関税を20%に引き上げるため、影響が懸念されている。
中国には華為技術(ファーウェイ)などの主要テクノロジー企業が存在するほか、アップルなどの外国企業が販売する携帯端末の組み立てや、重要な部品の生産も行われている。
開幕前日に行われたイベントで、ノキアのペッカ・ルンドマーク最高経営責任者(CEO)は「明らかに、世界的な関税戦争は誰の利益にもならない」と述べつつ、「貿易に関して何が起こるかは誰も本当に分からない」との見方を示した。
トランプ氏が中国に対する高率関税を撤回せず、さらに欧州連合(EU)など他の主要経済圏にも拡大すれば、世界のITおよびスマートフォン市場全体に、貿易コスト上昇の影響が及ぶ可能性がある。
会場では、AI技術の導入を前面に押し出した展示が各所で見られた。グーグルの著名な科学者であるレイ・カーツワイル氏はビデオリンクを通じて登場し、AIが「脳システムと直接対話する」未来を予測し、それによって人間の知能が大幅に拡張される可能性があると語った。
携帯端末メーカー各社も、最新モデルに搭載されたAI技術をアピールしている。サムスンは、ユーザーが自然言語で指示を出し、簡単なタスクを実行できる端末をデモンストレーションした。これは、一般消費者向け市場におけるAIエージェントのトレンドに沿った動きだ。また、中国の栄耀(HONOR)は、新しいモデルにAIを活用したディープフェイク画像やビデオの検出ツールを組み込むと発表した。
ChatGPTの登場以降、テック業界の視線の先には生成AIがあり、新たなデバイス開発において必須の要素となっている。
スマートフォン市場は2年間の縮小から回復し、2024年には6.3%増加。販売台数は12億台を超えたと、市場調査会社IDCは報告している。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件