米カリフォルニア州サニーベールにある遺伝子検査大手23andMe本社前で(2024年2月1日撮影)。(c)JUSTIN SULLIVAN:GETTY IMAGES NORTH AMERICA:AFP
【AFP=時事】2年前に大規模なハッカー被害を受けた米国の遺伝子検査大手「23andMe」が、破産を申請した。これを受けカリフォルニア州司法当局は、DNAを提出した顧客に対し、個人情報の削除を同社に要請するよう勧告した。
シリコンバレーに拠点を置く23andMeは2021年に上場。1500万人の顧客を抱える。家系をたどったり、健康関連の遺伝的特性を判定したりするための唾液検査キットを200ドル(約3万円)弱で販売し、DNA検査ブームが起きた数年前には利用者は数百万人に上った。
検査キットは人気の贈り物ともなったが、最近ではブームの終息と大規模なデータ漏えいの影響で売り上げが減少していた。
2023年に起きたハッキング事件では、約690万件のアカウントが影響を受け、うち550万件に遺伝的マッチング情報が含まれていた。ハッカーは顧客の古いパスワードを使用して、氏名、性別、生年、所在地、写真、健康情報、遺伝的祖先などに関するデータに不正アクセスしていた。
同社の破産申請に伴い、カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は「州民は自らの権利を行使し、23andMeに対し、データの削除および保管されている遺伝物質サンプルの破棄を求めるよう促したい」と述べた。
米国には国家規模でのデータプライバシー保護策はほとんどないが、カリフォルニア州には、利用者データの取り扱いを規制する独自の州法がある。
米紙ワシントン・ポストのテックコラムニスト、ジェフリー・ファウラー氏は「もしもあなたが23andMeにDNAを提供した1500万人の一人なら、すぐにデータを削除すべきだ」と警告。「データが別の会社に売却または移転され、他の目的で使用されるリスク」があると指摘した。
24日の株式市場では、23andMeの株価はほぼ50%安の92セント(約140円)まで下落した。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件