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「あなたの写真、ジブリ風にします」 韓国で拡がるAI副業に著作権の壁

ChatGPT-4oの画像生成機能を使い、news1のチョン・ユンミ記者のプロフィール写真(左)をジブリ風に変換した例(c)news1

ChatGPT-4oの画像生成機能を使い、news1のチョン・ユンミ記者のプロフィール写真(左)をジブリ風に変換した例(c)news1

【KOREA WAVE】「あなたの写真をジブリ風に描きます」――米オープンAIの画像生成機能の登場を受け、韓国では特定のアニメ風にAIで画像を変換する“副業”が登場し、その法的適否をめぐって議論が白熱している。

 話題の中心は、オープンAIが3月27日に公開したChatGPT-4oの画像生成機能。この機能では、スタジオジブリやディズニーなどの著名アニメ風の画風で写真を変換することが可能となり、X(旧Twitter)でオープンAIのサム・アルトマンCEOが自身のプロフィール画像をジブリ風に変えたことで一気に注目が集まった。

 その影響もあって、世界のChatGPT有料利用者は急増し、2025年3月時点で5億人を突破。2022年11月のサービス開始から2年4カ月でこの数字に達し、2024年末時点の3億5000万人からわずか3カ月で30%以上増加した。画像変換機能がこの成長を後押ししたとみられる。

 韓国国内では、このAI画像生成機能を使って副業を始める人も出てきている。地域コミュニティアプリ「タングン」では「写真を送ってくれればジブリ風にして返す」といった投稿が相次ぎ、1枚あたり2000ウォンから1万ウォンで取引されている。しかしこの“副業”に対しては、著作権法違反の可能性を指摘する声もある。韓国の著作権法では、単なるアイデアではなく具体的な「表現」が保護対象とされる。

 問題は、アニメの「画風(スタイル)」が表現に該当するか、それともアイデアにすぎないかという点だ。これについては知的財産権の専門家の間でも意見が分かれている。ある弁護士は「ジブリ特有の色彩や線の描き方、人物比率、背景のタッチなどは創作性ある『表現の結合体』と見なされる」と指摘し、「『ジブリ風イラスト』と明示して金銭を受け取って提供する場合、表現様式の商用模倣となるため著作権侵害の可能性が高い」と明言した。また「元の著作物をもとに2次創作し、商業目的で提供する行為は、非商用のファンアートとは異なり、より厳しく判断されやすい」として、侵害認定の可能性が高まると説明した。

 別の弁護士は「画風そのものを著作権で保護するのは難しい」として、日本の文化庁が2023年に発表したAIと著作権に関する報告書を根拠に挙げた。同報告書には「特定の画風や作風を学習させて似た画像を作る行為は、画風がアイデアであると考えれば、それ自体では著作権侵害にはあたらない」と明記されている。この弁護士は「画風が著作権の保護対象に該当しないのであれば、副業としての行為も法的に問題にならない」とみる。また「利用者がジブリの公式関係者ではない以上、そもそも著作権を主張できない可能性もある」として、仮に違法性があるとしても詐欺など他の法的観点から検討すべきとした。(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News|使用条件

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