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中国の科学者、葉っぱによるマイクロプラスチック吸収を確認

植物の模擬暴露実験を行う、南開大学の新汚染物研究チーム(撮影日不明)。(c)Xinhua News

植物の模擬暴露実験を行う、南開大学の新汚染物研究チーム(撮影日不明)。(c)Xinhua News

【Xinhua News】中国の科学者はこのほど、植物の葉が大気中のマイクロプラスチックを吸収、蓄積する現象が広く存在し、それが食物連鎖を通じて人体に入り込む主な経路となっていることを明らかにした。新たな汚染物質であるマイクロプラスチックが大気中でどのような動きをするのかを包括的に把握することは、その管理や制御を行う上で極めて重要と言える。

 南開大学環境科学・工程学院(天津市)の汪磊(おう・らい)教授と孫紅文(そん・こうぶん)教授の各研究チーム、米国マサチューセッツ大学アマースト校の邢宝山(けい・ほうざん)教授の研究チーム、中国科学院生態環境研究センター(北京市)、東北大学(遼寧省瀋陽市)、北京市農林科学院による共同研究で、研究成果は9日、英科学誌「ネイチャー]」のオンライン版に掲載された。

 植物による吸収は、多くの汚染物質が食物連鎖に取り込まれる主要経路となる。土壌中のマイクロプラスチックは根から吸収される可能性があるものの、茎葉部への転流効率が低いため可食部への影響は限定的といえる。これに対し、葉が大気中に浮遊するマイクロプラスチックを吸収するとなれば、生態系への影響はより直接的なものとなる。しかし、これまで葉による大気中のマイクロプラスチック吸収については、有力な証拠を欠いていた。

 今回の研究では、質量分析法による測定を通じて、植物の葉にポリエチレンテレフタレート(PET)やポリスチレン(PS)の重合体(ポリマー)と低重合体(オリゴマー)が広く存在すること、その含有量が大気中の濃度や葉の生長時間に伴って増加することが明らかになった。

 論文の筆頭著者である南開大学環境科学・工程学院博士課程の李燁(り・よう)さんは「ポリエステル工場やごみ埋立地といった高汚染地域の高木や低木の葉、露地栽培された葉物野菜のいずれからもPETやPSが検出された。ハイパースペクトル画像診断(HSI)技術と原子間力顕微鏡-赤外分光法(AMF−IR)の複合技術により、汚染地域の高木や低木の葉に吸収されたマイクロプラスチック粒子も確認した」と語った。

 研究チームはさらに、研究室での模擬実験によって、トウモロコシの葉の気孔から吸収されたマイクロプラスチック粒子が、細胞間隙を通って維管束組織へと運ばれ、葉の表面の毛状突起に蓄積されることを確認した。

 汪教授は「マイクロ・ナノプラスチックによる汚染問題は現在、世界的に注目され、生物に与える毒性の影響も次々と明らかになっている」と指摘。植物は食物連鎖の基本単位であり、葉に蓄積されたマイクロプラスチックが食物連鎖に直接入り込むことによる生態系や健康へのリスクは、さらに掘り下げて研究する価値があると述べた。(記者/張建新、栗雅婷)【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News|使用条件