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小惑星の月面衝突確率上昇、人工衛星に脅威も

2025年1月27日にニューメキシコ工科大学のマグダレナリッジ2.4m望遠鏡で観測された「小惑星2024 YR4」。米航空宇宙局(NASA)提供(2025年1月31日提供)。(c)AFP PHOTO / NASA/MAGDALENA RIDGE 2.4M TELESCOPE/NEW MEXICO INSTITUTE OF TECHNOLOGY/RYAN

2025年1月27日にニューメキシコ工科大学のマグダレナリッジ2.4m望遠鏡で観測された「小惑星2024 YR4」。米航空宇宙局(NASA)提供(2025年1月31日提供)。(c)AFP PHOTO / NASA/MAGDALENA RIDGE 2.4M TELESCOPE/NEW MEXICO INSTITUTE OF TECHNOLOGY/RYAN

【AFP=時事】ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の5月のデータによると、一時は地球に衝突する恐れがあった小惑星「2024 YR4」が月に衝突する確率が4.3%に高まった。

 この小惑星の衝突が地球に与える影響を初めて推定したプレプリント研究が先週、科学分野のプレプリント・サーバー「arXiv」に公開され、英学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に提出された。

 ひとつの都市全体に甚大な被害をもたらす可能性がある「シティー・キラー」に分類される小惑星「2024 YR4」は一時、2032年12月22日に地球に衝突するのではないかと懸念されていた。その後、さらなる観測により、地球への直接的な衝突は完全に否定されたが、代わりにこの小惑星が地球の衛星である月に衝突する可能性が上昇している。

 論文の筆頭著者を務めたカナダ・ウェスタンオンタリオ大学のポール・ウィーガート教授はAFPに対し、「これほど大きな小惑星が月に衝突するのは、およそ5000年ぶりだろう」と説明。衝突によって放出されるエネルギーは「大規模な核爆発に匹敵する」と付け加えた。

 研究チームが行った一連のシミュレーションによると、この衝突によって、月の表面から最大10万トンの物質が飛散する可能性がある。また「2024 YR4」が地球から見える月の表側に衝突した場合、飛散した物質の最大10%がその後数日間にわたって、地球の重力で引き寄せられる可能性があると指摘している。

 地球の大気が、最大数センチのそうした飛散物質から地表を守るだろうとウィーガート氏は述べた。ただし、これらの飛散物質が人口衛星を破壊する可能性がある。2032年までに地球を周回する衛星の数はさらに増えると予想されている。

 ウィーガート氏は「秒速数万メートルで移動する直径1センチの岩石は、弾丸のようなもの」であり、衝突後の数日間、人口衛星を脅かす隕石の数は通常の1000倍以上になる可能性があると述べた。

 一方、地上からは夜空を照らす「壮観な」流星群を目にすることができると研究は述べている。ただし、小惑星「2024 YR4」が月の表側に直接衝突する確率は現在、わずか2%だとウィーガート氏は強調した。この小惑星が再び観測されるのは2028年になる見込みで、詳細が判明するまでにはしばらく時間がかかる見通しだ。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件