フランスのリサイクル工場で圧縮されるPETプラスチックのボトル(2023年6月1日撮影)。(c)JEFF PACHOUD/AFP フランスのリサイクル工場で撮影されたPETプラスチックのペレット(2023年6月1日撮影)。(c)JEFF PACHOUD/AFP2/2 フランスのリサイクル工場で撮影されたPETプラスチックのペレット(2023年6月1日撮影)。(c)JEFF PACHOUD/AFP
【AFP=時事】大腸菌を利用してプラスチック廃棄物を一般的な鎮痛剤パラセタモール(アセトアミノフェン)に変える方法を発見したとする研究結果を22日、英国のチームが化学誌「ネイチャー ケミストリー」に発表した。
この研究チームはプラスチック廃棄物と医薬品生産という二つの課題に対し、大腸菌を用いることで解決策を見いだそうとした。
化学者たちはまず、ペットボトルなどに使われるプラスチック、ポリエチレンテレフタレート(PET)由来の分子を出発点とし、それを大腸菌株に加えることで化学反応を誘発した。この反応により、PABAと呼ばれる分子が生成された。化学者たちは大腸菌の遺伝子を操作することで、この分子をパラセタモールへと変換することに成功した。
論文の筆頭著者スティーブン・ウォレス氏は声明で「PETプラスチックはもはや単なる廃棄物でも、再生プラスチックにしかならない素材でもない。微生物の力によって、病気の治療に役立つ可能性を含む、価値ある新製品に変換し得ることを本研究は示している」と述べた。
この研究に関与していないシンガポールの研究者たちは関連コメントで、合成化学と生物化学を融合させた手法を称賛した。ただし、「このアイデアを概念実証の段階から実用化へと進めるためには、いくつかの実際的な課題が残っている」と指摘。この化学反応によって生成されるPABA分子の量は限られており、「産業用途には不十分かもしれない」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件