上海電気集団のブース前で、人型ロボットによる原発設備清掃の実演を見る来場者(2025年6月11日撮影)。(c)Xinhua News
【Xinhua News】中国上海市でこのほど開かれた第11回中国(上海)国際技術輸出入交易会では、医療、ロボット、素材などの分野で国内外の出展者が新技術を披露し、「未来の生活」を予感させる展示が来場者の注目を集めた。
医療機器メーカーの上海韶脳伝感技術は、非侵襲型BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)を使った「脳波収集リハビリ訓練設備」を出展。帽子型のデバイスをかぶると、ユーザーの脳波をコンピューターが解析して操作信号に変換。上肢の運動機能に障害のある脳卒中患者のリハビリを支援する仕組みだ。昨年末に上海市で医療機器の登録証を取得し、すでに復旦大学附属中山医院や首都医科大学附属北京天壇医院など10カ所以上の臨床現場で試験運用されている。
重電メーカーの上海電気集団のブースでは、原子力発電所の蒸気発生器の管穴を清掃する人型ロボットが目玉となっていた。ブース担当者の簡凱峰(かん・がいほう)さんによると、管穴の清浄度は原発の安全運転と経済的利益に直結するが、作業員による密閉空間での清掃にはリスクがあった。ロボットによる代替でこのリスクを大幅に低減できるという。
「現在すでに訓練を開始しており、将来的にはより多くの場面に応用され、高強度かつ危険で反復的な作業を代替できるようになる」と簡さんは説明した。
東華大学の先進繊維材料全国重点実験室は、月面土壌を使った繊維製造のためのモジュール装置を独自開発し、世界で初めて公開した。実験室メンバーの汪慶衛(おう・けいえい)教授によると、同大学の朱美芳(しゅ・びほう)中国工程院院士(アカデミー会員)の研究チームは、月探査機「嫦娥5号」が持ち帰った月の土壌500ミリグラムを分析し、月の土壌が玄武岩鉱石の化学成分と鉱物組成に非常に近いことを発見。玄武岩鉱石で再現した月の土壌を使い、玄武岩の織布や格子、鉄筋などさまざまな材料の製造をすでに実現しているという。
今回の交易会は総展示面積3万5千平方メートルに及び、世界20カ国・地域と中国国内約20の省・自治区・直轄市から集まったイノベーション成果が展示され、出展企業は千社近くに上った。【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News|使用条件