リモート検査を行う税関職員(提供写真)。(c)CNS
【東方新報】中国・河南省(Henan)鄭州(Zhengzhou)税関は2日、一台のスマートフォンと一つのARメガネで、輸出入貨物の税関検査を完了できるようになり、種苗の輸出や加工食品・穀物の輸入など50種を超える貨物の通関効率が30%以上向上したと発表した。
河南省西部、三門峡市(Sanmenxia)の伏牛山奥深くにあるハイテク企業の「河南金海バイオテクノロジー」では、海外営業マネージャーの曲全武(Qu Quanwu)氏が朝から忙しく立ち働いていた。韓国に発送予定の冷蔵庫で保管されている菌糸の状態を確認しながら、税関検査の時間調整にも追われていた。検査員が現場に到着すると、ARメガネを装着して貨物の映像を三門峡税関の指令センターの大型スクリーンにリアルタイムで送信した。「ロット番号の確認、カビの有無、根・茎・葉・果実が混入していないか、菌糸の形態のチェック……」と、現場の検査員がARメガネに向かって読み上げると、遠隔地の専門家がリモートで貨物のラベルと状態を確認した。18分後、検査結果が企業側の画面にフィードバックされた。
曲全武氏によれば、以前は長時間待たされることが多かった。「しかし菌糸は生き物であり、時間に余裕はない。あるとき、韓国の顧客から緊急で大口注文が入り、税関が複数地域の検査員を手配してくれたことで、十数台の冷蔵車の出荷が間に合った」と話す。
河南省南部の信陽税関の現場では、同税関の検査課課長である張秋華(Zhang Qiuhua)氏が、スマートフォンを使って企業の柳編製品(柳の枝を編んだ工芸品)の輸出貨物をリモートで検査していた。企業側のスタッフが倉庫でスマホを手に撮影し、検査員は指令センターでリモートから箱を開ける作業や工芸ラベル、貨物情報の確認を指導した。全工程は20分で完了し、貨物はすぐに通関が完了した。「以前は全体で少なくとも3時間かかっていたが、現在では申告から検査証明書の発行まで1時間以内で済むようになった」と説明した。
鄭州税関の関係者によれば、近年は「センター+現場」の作業モデルを通じて、税関検査を単一の現場作業から、クラウドと現場を連携させたシームレスな検査体制へと移行させた。その結果、種苗の輸出、加工食品・穀物の輸入など50を超える業務分野において検査効率と通関スピードが30%以上向上し、200社以上の輸出入企業がその恩恵を受けているという。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件