母親の指を握る新生児(2013年9月17日撮影、資料写真)。(c)AFP:PHILIPPE HUGUEN
【AFP=時事】母親から遺伝性疾患を受け継ぐリスクを低減する、新しい体外受精技術を用いた世界初の臨床試験の結果が16日に発表され、8人の健康な子どもが誕生した。
この技術は画期的なもので、ミトコンドリアDNA(mtDNA)に異常を抱える女性が、将来的に衰弱性や致死性の疾患を受け継がない子どもを持つことができる希望を高めるものと称賛された。
「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」など、いくつかの論文に掲載された英国内での試験結果によると、イングランド北東部のニューカッスル不妊治療センターで治療を受けた22人の女性から、8人の子どもが生まれた。男女4人ずつの子どもの年齢層は、現在生後6か月未満から2歳以上となっている。
病気を引き起こす変異ミトコンドリアDNAの量は、6人の子どもで95~100%減少した。他の2人は、その量が77~88%減少し、病気を引き起こす範囲を下回った。1人は心拍のリズムに異常があるものの、8人の子どもたちは健康で、研究者たちは治療に成功したと述べている。問題が発生するかどうかを確認するため、その健康状態は今後数年追跡されることになる。
ある研究は、これが母親と子どもの間の病気の伝達を「減少させるのに効果的」であることを示していると述べている。
ミトコンドリア病は出生5000人に1人の割合で発症し、視覚障害や糖尿病、筋萎縮などの症状を引き起こすもので、治療法はない。
英国は2015年に初めて、母親の卵子と父親の精子に加え、ドナーの卵子から少量の健康なミトコンドリアDNAを使用する体外受精技術を認可した。このプロセスの結果を「3人の親」と呼ぶ声もあるが、ドナーからは新生児のDNAの約0.1%しか受け継がれないため、研究者たちはこの用語に反対している。
ミトコンドリアの提供は依然として議論の的であり、米国やフランスを含む多くの国では承認されていない。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件