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「巨大たこ」で揚力発電 アイルランド

アイルランド西海岸のバンガーエリスで、揚力で発電するたこの試験に向けて準備をするプロジェクトのメンバー(2025年7月18日撮影)。(c)Paul Faith:AFP

アイルランド西海岸のバンガーエリスで、揚力で発電するたこの試験に向けて準備をするプロジェクトのメンバー(2025年7月18日撮影)。(c)Paul Faith:AFP

【AFP=時事】風が強いアイルランドの西海岸で、研究者たちが揚げているのは、揚力で発電する巨大なたこだ。この新しい風力発電の形に期待が高まっている。

 バンガー・エリスにある試験場では、プロジェクトのメンバーが60平方メートルのたこを格納庫から運び出し、ケーブルで発電機に取り付けて試験を開始した。この「空中再生可能エネルギー」のための試験場は、世界で初めて設けられたものだという。

 この事業を手掛けるオランダのベンチャー企業、カイトパワーのパドレイク・ドハーティ氏によると、たこが「ヨーヨーや釣りリール」のように動作することで発電が可能になるという。

 アイルランドは、石油やガスなどの化石燃料への依存を減らすことを目指しており、このプロジェクトに対する期待が高まっている。

「風力エネルギーの革命を目の当たりにしている」と、同社の運営責任者アンドレイ・ルカ氏は語った。たこは約400メートルまで舞い上がった後、約190メートルまで巻き戻される。この際に発電が行われ、約30キロワットの電力をバッテリーに蓄えることができる。遠隔地や離島、建設現場などでの活用が想定されている。

「24時間以内に設置でき、どこにでも持っていける。非常に機動的で、費用も時間もかかる風力タービンの基礎工事が不要だ」とドハーティ氏は語る。

 アイルランドの風力エネルギー部門は長年にわたり潜在力が高いとされてきたが、陸上および洋上タービンの大規模導入は、計画の遅れや送電網の制約で停滞している。アイルランド政府は現在、2040年までに洋上風力発電で20ギガワット、2050年までに37ギガワットの電力を供給するという目標を掲げている。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件