【CNS】朝もやが立ち込める中、湖北省(Hubei)遠安県(Yuanan)河口郷鞏裕村の村幹部・劉永娟(Liu Yongjuan)さんは紅李山荘家庭農場へ急いだ。遠安職業教育センターの電子商取引学科の学生たちと共に、赤く実った三華李(プラムの一種)を山里から売り出すためのライブコマースを始めるためだ。
遠安県は湖北省北西部に位置する。同県では近年、「村播連盟」を組織し、農産品のライブコマース販売を展開。地域の魅力を発信しながら特産品をPRし、農家の収入増加を支える「クラウドパワー」として機能している。劉さんはこの連盟の一員だ。
「今年は紅李山荘の1020ムー(約68ヘクタール)で栽培した三華李が豊作で、収穫量は25万キロ以上に達しました」と説明する。地元のインフルエンサーがネット動画で観光客を呼び込み、「村播連盟」を通じてライブ販売を行うことで、迅速な販売を実現している。
紅李山荘を経営する呉紅菊(Wu Hongju)さんによると、連盟の支援で1万2000件以上のオンライン注文を受け、売上高は約40万元(約819万6600円)に上ったという。湖北省の鹿苑村では、多くの農家が連盟のライブ配信に参加している。
村民の付邦全(Fu Bangquan)さんは、「以前は縁日で売っていたが、今はライブ配信が当たり前」と話す。付さんは、飼育する烏骨鶏と地卵の売れ行きに悩むことはなく、「今年は2000元(約4万983円)ほど収入が増える見込み」と笑顔を見せる。
鹿苑村党支部書記の付煒煒(Fu Weiwei)さんは、茶園で撮影した動画で遠安黄茶をPRしている。「多くの人が私の動画を通じて鹿苑村を知り、遠方から観光客が訪れるようになりました」と語る。現在、遠安県では14人の「ライブ配信担当村幹部」と342人の地元動画クリエイターが育成され、7つの郷鎮で200回以上のライブ配信が実施された。これにより農家の収入は10万元(約204万9150円)以上増加した。特産品の販売促進と並行し、同県は農業・文化・観光の融合を深化させている。
2025年上半期、ツアーや個人旅行、農村観光の利用者数は前年比21.54%増、観光収入は23.46%増と堅調な伸びを示した。遠安県委組織部副部長の張文氏は、「政府主導+村の自主性+社会参加」という持続可能なライブコマース支援体制を構築し、農村の電子商取引人材を育成、農産品の販路拡大を図ると述べた。【翻訳編集】CNS/AFPBB News|使用条件