BEYOND HONEYCOMBの調理ロボット「グリルX」(c)KOREA WAVEチョン・ヒョンギ代表(c)KOREA WAVEBEYOND HONEYCOMBのグリルXで下焼きされたステーキ(c)KOREA WAVE
【KOREA WAVE】肉を焼く作業は誰にとっても難しく骨の折れる仕事だ。このような苦労(?)を減らすため、「AI焼きロボット」が飲食店の新たな助っ人として定着しつつある。
肉を一定のクオリティで下焼きし、煙や火花まで感知して調理の品質を管理する。韓国のフードテックスタートアップの「BEYOND HONEYCOMB」は、ここ数年こうした流れをリードしてきた企業だ。同社が開発したAI調理ロボット「グリルX」は、サムギョプサル、カルビ、ステーキなどを自動で下焼きする装置だ。
メガ・ニュース(MEGA News)のシン・ヨンビン記者の取材によると、これまでに累計180台が普及し、70以上のブランドが導入した。代表的な焼肉チェーンから、地元の小さな飲食店、ホテルレストランに至るまで、導入の幅は多岐にわたる。
BEYOND HONEYCOMBのチョン・ヒョンギ代表は「外食業界が不況の今こそ、よりコストに優しい製品が必要だと考えて研究を続けてきた。以前は1店舗で3〜4台必要だったが、今は1〜2台で同じパフォーマンスを出せるように高度化した」と説明した。
BEYOND HONEYCOMBは単なる自動化を超え、「フィジカルAI」という概念を強調している。人間には難しい3D(きつくて・汚くて・危険な)業務を代行するロボットという意味だ。
煙や火花、油が飛ぶ環境で繰り返される焼肉の調理作業は、まさに典型的な3D職種だ。チョン代表は「フィジカルAIは、人間にとって困難な仕事を代行する技術だ。当社のロボットは、小規模事業者の店主に実際に役立つAIだと考えている」と語った。
現在、下焼き人材の確保が難しいウナギ店や、人件費の負担が大きいサムギョプサル店でロボットの導入が急速に進んでいる。BEYOND HONEYCOMBが最近発表した新型ロボットは、分子センサーとビジョンAIを組み合わせ、調理品質をさらに高めた。
従来はセンサーが一定の周期で味の状態を読み取り調理を調整していたが、その間に火が上がってしまうと認識が困難になるという問題があった。新型モデルには、煙や火花をリアルタイムで感知するカメラが搭載されており、こうした弱点を補っている。また、鉄板の面積を拡大して一度により多くの料理が調理できるように設計されており、柱の数を減らして開放感を確保し、清掃の利便性も改善された。初期モデルよりもシンプルな構造を採用し、大量生産と耐久性の強化も可能になった。
調理の自動化の本質は「味の客観化」にある。BEYOND HONEYCOMBは、メイラード反応、焦げ味、肉汁の損失、脂肪・コラーゲンの状態を数値化したデータセットを構築してきた。そのために、現在も毎月約800万ウォン(約90万円)相当の食材を投入している。
チョン代表は「AIが正しく学習するには数値データが必要だ。非定型的な味を定型化する過程でノウハウが蓄積されている。実際の飲食店のような過酷な環境でも、強く認識できるモデルを構築している」とも付け加えた。
BEYOND HONEYCOMBはロボットの部品の大半を自社で製造している。モーターだけは外部から購入し、それ以外の減速機・関節・センサーなどは自社で設計・加工している。AIもGPUサーバーに依存せず、低価格PCでも動作可能なオンデバイスモデルとして開発している。
外部部品を組み合わせただけでは、小規模事業者が負担できる価格構造にはならない。自社製造とオンデバイスAIにより、原価・性能・量産性のすべてを同時に実現した――チョン代表はこう強調した。
BEYOND HONEYCOMBは、ソフトウェアのアップデートを通じて既存顧客にも性能向上を提供している。チョン代表は「新規顧客だけでなく、既存顧客の店舗でもロボット台数を減らせるようにした。デモを見た後の契約率が高いのも、顧客との協業を重視したからだ」と述べた。
同社は現在、北米およびヨーロッパ市場への進出を見据えている。毎月3〜4件の海外からの問い合わせがあり、潜在的な顧客リストだけでも50以上にのぼる。現在、北米の認証手続きを進めており、ヨーロッパでは概念検証(PoC)プロジェクトを準備中だ。(c)KOREA WAVE/AFPBB News|使用条件