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注目集める彗星、「エイリアン」起源説でネット騒然

米航空宇宙局(NASA)の火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」に搭載された高解像度カメラ「HiRISE」が撮影した、軌道とスケールバーが注釈された彗星「3I/ATLAS」の画像。NASA公開(2025年10月2日撮影、2025年11月19日公開)。(c)AFP PHOTO / NASA

米航空宇宙局(NASA)の火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」に搭載された高解像度カメラ「HiRISE」が撮影した、軌道とスケールバーが注釈された彗星「3I/ATLAS」の画像。NASA公開(2025年10月2日撮影、2025年11月19日公開)。(c)AFP PHOTO / NASA

【AFP=時事】宇宙を飛ぶ岩石か、それともエイリアンの脅威か? 彗星(すいせい)「3I/Atlas」は太陽系を猛スピードで通過しており、科学者やネットユーザーの注目を集め、さらにはリアリティー番組のスターであるキム・カーダシアンさんが米航空宇宙局(NASA)に説明を求めた。

 この彗星が実は宇宙船ではないかという疑問は、カーダシアンさんのほか、米連邦議会議員や米ハーバード大学の研究者、著名な陰謀論者といったさまざまな人物から寄せられている。しかしNASAは19日、こうした臆測が広がる中で新たな画像を公開してこの説を否定した。

 発見に関わったチリの天体物理学者トーマス・プシア氏はAFPに対し、「人々がこの議論に関心を持っているのは素晴らしいことだ」としつつ、「科学的プロセスに先んじて臆測を広げるのは非常に危険で、ある程度誤解を招く」と述べ、数週間にわたり地球外宇宙船説は否定できないと主張し続ける別の研究者を暗に批判した。

「事実のすべてが、例外なく、恒星間空間から地球にやってくる通常の天体を示している」と話し、「非常に特異な性質を持つが、物理学で説明できないものではない」とも述べた。

■生命の兆候を求めて

 この彗星は今年7月に発見されて以来、大きな話題を呼んでいる。太陽系外から飛来した恒星間天体として確認されたのは、これが3例目にすぎないためだ。

 初めて観測されたのは2017年に発見された「オウムアムア」で、当時も同様の議論と興奮を巻き起こした。その際も、ハーバード大学のアビィ・ローブ教授はオウムアムアが宇宙船であるという説を支持し、後に著書でもその物議を醸す立場を擁護した。

 今回もローブ教授は、3I/Atlasに関して科学界が開かれた心を欠いていると批判している。ローブ氏はAFPの取材に「もちろん自然物かもしれない」としつつ、「だが、もし人工物であれば人類にとって極めて重大な意味を持つ。だからこそ技術的な可能性も考慮すべきだ」と述べた。

 しかし、NASAはこれに同意していない。 NASA副長官のアミット・クシャトリヤ氏は「私たちは宇宙で生命の兆候を見つけたいと強く願っている…しかし、3I/Atlasは彗星である」と会見で述べた。

■「鳥肌が立つ」

 誰もが一致して認めているのは、3I/Atlasが普通ではないという点だ。この彗星には多くの謎が隠されている。科学者たちは、特にその起源や正確な組成を明らかにするため、地球に接近する今後数週間の観測に期待している。

 宇宙の遠い果てから来た岩石と氷からなるこの小さな天体は「惑星がどのように形成されるか」や、「銀河の進化の歴史の中で、他の恒星の周囲で生命がどのように誕生するのか」をよりよく理解するのに役立つ可能性があるとプシア氏は言う。

 NASAの科学者トム・スタットラー氏は、この彗星の起源を考えると「鳥肌が立つ」と語った。スタットラー氏は「確実とは言えないが、われわれの太陽系自体よりも古い太陽系から来た可能性が高い。これは遠い過去への窓であり、地球や太陽が形成される以前の時代にまでさかのぼる」と述べた。

 以前検出された2つの恒星間天体とは異なり、3I/Atlasは数か月にわたって観察されている。観測技術の進歩により、今後さらに多くの恒星間天体が発見されることが期待されている。

「今後は毎年、何十個も見つかるようになるだろう」と、米ミシガン州立大学のダリル・セリグマン氏はAFPに語った。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件

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