【KOREA WAVE】老化を巻き戻す「アンチエイジング」の研究と技術開発が世界中で加速する中、人工知能(AI)を活用した個人向けの老化管理ソリューションが注目されている。グローバルIT企業各社が医療分野への進出を本格化させるなか、AIは病気の予防や早期発見、日常的な健康管理を担うパートナーとしての役割を強めている。
米国オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は2025年2月、韓国で開催されたワークショップで「生成AIが最も期待される分野は医療だ」と語り、医療用ChatGPTの開発を進める意向を明かした。こうした動きの中で、AIとマルチオミクス(遺伝子・代謝・環境情報など複数の生体データ)を活用し、個人の生活習慣や体質に基づいた老化管理をする技術が注目されている。老化の速度や方向、疾患のリスクを正確に予測し、早期予防に役立てるというものだ。
遺伝子検査企業のマクロジェン(Macrogen)は、唾液や血液から129項目の遺伝情報を解析し、血糖・脂質・血圧、肥満傾向、筋力や持久力、皮膚や髪の状態、ストレス耐性やアルコール分解能力まで詳細なデータを提示。AIがこれをもとに生活習慣の改善や運動指導など個別の健康プランを提案する。
老化対策の中心的概念である「抗酸化管理」においても、テクノロジーの進化が著しい。サムスン電子の「ギャラクシーウォッチ8」は、世界で初めて5秒間親指をセンサーにあてるだけで皮膚中の抗酸化物質・カロテノイドの濃度を計測し、0〜100点の抗酸化指数を提供する機能を搭載した。
同社MX事業部のヘルスハードウェア開発チームのパク・ジニョン氏は「スマートウォッチで体内の有機化合物を直接測定したのは業界初であり、GoogleのAI『Gemini』を搭載することで、個人最適化された健康管理機能が今後さらに拡張される」と述べた。さらに、血流を測定するPPGセンサーによる心血管モニタリングや、睡眠の質を分析して適切な就寝時間を提案する機能など、健康維持をサポートする多機能も搭載されている。
AIによる健康管理は家庭内でも進化を遂げている。非対面診療プラットフォーム「ナマネドクター」を運営するメラキプレイス(Meraki Place)は、2026年初頭にAI健康アシスタント「AIホームドクター」をリリースする予定。これにより、自宅にいながら過去の診療履歴に基づくパーソナル健康相談や疾病リスク予測、個別の管理プランをAIチャットボットが提供できるようになる。
メラキプレイスの共同代表ソン・ジェウォン氏は「医療マイデータとAIを組み合わせることで、利用者がいつでも正確な健康情報を得られる時代が到来する」と語った。
科学の進歩によって、「誰にでも訪れるもの」とされてきた老化は、個別にマネジメントできる時代へと変わりつつある。AIは今や医療の補助役を超え、未来の健康と若さを守るパートナーとしての役割を果たし始めている。<news1 チョ・ユリ記者>【KOREA WAVE】(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News|使用条件
