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「信用できない」ロシア独自の通信アプリに国民の評価二分

スマートフォンの画面に表示された米通信アプリ「ワッツアップ」のロゴ(2023年4月11日撮影)。(c)Kirill KUDRYAVTSEV:AFP

スマートフォンの画面に表示された米通信アプリ「ワッツアップ」のロゴ(2023年4月11日撮影)。(c)Kirill KUDRYAVTSEV:AFP

【AFP=時事】通信アプリ「ワッツアップ」と「テレグラム」を制限し、独自アプリへの移行を進めるロシア。同国のSNS大手VKが公開した通信アプリは政府関係者から高評価を受けているものの、首都では受け止めが割れている。

 VKがリリースした通信アプリ「マックス」は、中国のウィーチャットやアリペイのように政府サービスの利用からピザの注文まで幅広い機能を備え、「スーパーアプリ」として宣伝されている。政府は9月1日以降、新たに販売されるすべての携帯電話とタブレットにマックスをプリインストールするようメーカーに指示し、同時に国外企業が運営する競合アプリでの通話を制限した。

 専門家は、ユーザーに切り替えを事実上強制する措置だと指摘している。当局はマックスについて「安全で、国外にデータを保存する外資系プラットフォームへの依存を減らせる」と主張する。一方、権利擁護団体は、同アプリにエンドツーエンドの暗号化がないことから「強力な監視ツールになりかねない」と警告している。

 モスクワの医師エカテリーナさん(39)は姓を明かさない条件で「私はあまり信用していない」と語った。仕事のためにマックスをインストールするよう求められたものの、個人的なやりとりは主にワッツアップを使っているとし、「失いたくないメッセージの履歴や仕事の連絡がワッツアップにはある」と話した。ただ、ロシア国民には選択肢があまり残されていないのかもしれない。

 ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ監督庁(ロスコムナゾール)は28日、ワッツアップの全面禁止を検討していると発表。同アプリが「犯罪のための手段」になっていると非難した。

 ワッツアップでは、すでに8月からアプリ上での通話がブロックされている。ロシア国内には約1億人のワッツアップ利用者がいる。利用者の一人、アンドレイ・イワノフさん(33)はAFPに「状況は混乱している」と述べ、禁止を進める背景について「ワッツアップが安全だからだ」と語った。「切り替えを強いる計画は、自由の制限の一種だ」と批判した。

■「問題は見当たらない」

 米国のメタ社が所有するワッツアップは、エンドツーエンドの暗号化を採用。メッセージは送信者の端末を離れた時点で暗号化され、受信者だけが読むことができる。また、メッセージの配信中のみメタのサーバーに暗号化された状態で保存され、配信後は削除され、政府への提供を拒否していると説明している。ただ、モスクワの一部住民はこうした説明に懐疑的だ。

 セルゲイ・アブラモフさん(67)は「今、国外で作られたものはすべて脅威だと感じている」とAFPに語り、ワッツアップが禁止されても「大きな問題はない」と話した。マリア・イサコワさん(36)も同意見で、「ロシア国民は変化する状況に適応するのが得意だ。他にもメッセンジャーはあり、切り替える選択肢もある」と述べ、「問題は見当たらない」と話した。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件

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