
成都の中心市街地で常態運用が始まった低空ドローン医療航路で使用される医療用ドローン=2025年12月12日撮影・資料写真(c)CNS:王鵬
【東方新報】12月12日午前、医療検体を積んだドローン1機が四川大学(Sichuan University)華西医院・錦江院区を離陸した。これにより、四川省成都市(Chengdu)で初となる高密度な中心市街地を対象とした、常態運用の低空ドローン医療輸送ルートが正式に開通した。
これまで四川大学華西医院では、遺伝子検査や抗体、染色体検査などの特殊検体を、錦江院区から華西壩にある本院まで地上の専用車両で輸送していた。両院区の距離は約13キロで、通常でも片道25~30分を要し、交通量の多い時間帯には45分以上かかることもあった。そのため、検査結果の待ち時間が延び、診療の流れに影響が出ることが課題となっていた。
こうした複数院区間の輸送にかかる時間を短縮するため、四川大学華西医院は2025年以降、低空域を活用したスマート物流の院内導入を進めてきた。
芯明智能(Xinming AI)や美団(Meituan)のドローン事業部などと連携し、技術検証と運用テストを重ねた結果、人口密集度の高い超大都市・成都において、常態化されたドローン医療輸送の実現にこぎ着けた。今回開通したルートでは、当面は1日3往復、計6便が運航される予定だ。これにより、錦江院区と華西壩本院の間での検体輸送時間は、片道15分まで短縮され、患者が検査結果を受け取るまでの待ち時間も半分以上削減される見込みだ。
四川大学華西医院の黄進(Huang Jin)常務副院長は、「この仕組みは、地上交通に左右されない新たな医療物資輸送ルートを確立し、重要物資の流通効率と安全性を大きく高めるだけでなく、人員配置の最適化や長期的な物流コストの削減にもつながる」と述べた。また、ドローン輸送に地上輸送を組み合わせた「二重のバックアップ体制」を構築することで、悪天候や空域規制が発生した場合でも輸送を止めずに対応でき、病院運営の効率化や緊急時対応力の向上にも寄与するとしている。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件