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ソーラーパーク急増、スペインの歴史あるオリーブ畑に迫る脅威

スペイン・アンダルシア州ロペラで、農地の収用に反対し、オリーブ畑を守るためにデモを行うオリーブ農家ら(2025年3月24日撮影)。(c)CRISTINA QUICLER:AFP

スペイン・アンダルシア州ロペラで、農地の収用に反対し、オリーブ畑を守るためにデモを行うオリーブ農家ら(2025年3月24日撮影)。(c)CRISTINA QUICLER:AFP

【AFP=時事】スペイン南部アンダルシア州ハエン近郊のオリーブ農園で、農家のフランシスコ・カンポスさんは、何世紀も前から受け継がれてきたオリーブの木々が伐採されることに不安を抱いている。白壁の建物が並ぶ人口3600人の町ロペラでAFPのインタビューに応じたカンポスさんは、「ソーラーパネルのためにオリーブの木を伐採するなんて、まるで犯罪だ」と語る。

 スペインは世界最大のオリーブオイル生産国。特にこの地域はオリーブ栽培の中心地だ。だが、オリーブ生産者が長年培ってきた肥沃な土地に今、大規模な太陽光発電所(ソーラーパーク)建設を目指す電力会社の需要が集中している。

 年間約3000時間の日照を誇るアンダルシアは、再生可能エネルギーブームにわくスペインの中でも、特に多くの太陽光パネルが設置されている場所の一つだ。ロペラ周辺では「グリーナリア」や「FRVアロヤダス」といった再生可能エネルギー企業が、いくつものソーラーパーク建設の許可を求めている。

 オリーブ農家によると、最大1000ヘクタールの農地が影響を受ける可能性がある。土地のリース交渉を開始した企業は、小規模土地所有者数百人の大反対に直面した。これを受け、アンダルシア自治州政府は、ソーラーパークに必要な一部の土地を「公共の利益」に資するとして収用する方針を発表した。この発表にカンポスさんは「企業の利益のために、われわれの土地を取り上げて差し出すことが本当に公共の利益なのか?われわれには何もいいことなどない」と憤る。「暮らしが破壊されようとしているんだ」

■トラクターデモで

 反対派の予想では、周辺で計画されている8つの太陽光プロジェクトによって伐採されるオリーブの木は約10万本に上る。しかし、州政府これよりも大幅に少なく見積もっており、その数字を1万3000本としている。

 ロペラ周辺では農家がトラクターデモを行った。直近の土地収用の影響を受けた農園主を支援するため、数十人が結集し「太陽光発電所は要らない」と書かれたプラカードを掲げた。抗議デモに参加した年金生活者のマリア・ホセファ・パロモさんは「ここにある土地は先祖から受け継いできたもの。今、子どもたちに何を残せばいいのか?」と問いかけた。

 地元のオリーブオイル生産者協同組合「ラ・ロペラナ」によると、500ヘクタールのオリーブ畑を失えば、年間200万ユーロ(約3億6500万円 )以上の収益を失う。反対派は、ロペラで太陽光発電所建設企業の一つと契約を交わしたある農家の土地から、すでに5000本のオリーブの木が引き抜かれたと言う。今後さらに伐採が進む可能性があり、こうした計画を阻止しようと反対派は州政府と関係企業を相手取り、訴訟を起こしている。

■「最後まで闘う」

 スペインの送電事業者レッド・エレクトリカによると、同国では風力や太陽光といった再生可能エネルギーが年間発電電力量に占める割合が昨年、過去最高の56.8%を記録した。スペインは日差しの強い平原、風の強い丘陵地帯、急流の川を活用し、2030年までに再生可能エネルギーによる発電割合を全体の81%に引き上げることを目指している。

 再生可能エネルギー計画を擁護するアンダルシア州政府は、所有者の意に沿わない収用を行った土地は、全体の1%未満だと主張している。また800社以上を代表するスペインの太陽光発電業界団体UNEFは、発電所計画によって、地方の税収は増加するとアピールする。

 UNEFのホセ・ドノソ代表は「これらのプロジェクトは、公共サービス向上に使うことのできる『かなりの額の資金』を生み出している」と主張した。だが、ロペラのソーラーパークに反対する人々は納得せず、闘い続けると決めている。「最後まで闘う。誰にも、私たちの土地を奪わせはしない」と農家のフアン・カンテラさん(28)は語り、「ロペラにとって、オリーブオイルはすべてなんです」と力を込めた。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件