【東方新報】世界最大級の先端技術の見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(International Consumer Electronics Show、CES)」は、世界の技術動向を映す指標として知られる。今年のCESでは、中国の具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)関連企業およそ30社が出展し、会場で大きな存在感を示した。完成品から部品まで、胴体から制御系まで幅広い展示がそろい、中国ロボット産業の層の厚さを印象づけた。数年前は試行錯誤の段階にあった中国のロボット技術は、いまや高度な動作をこなすまでに成長し、そのスピードは国際的にも注目されている。
今回の展示で披露されたロボットのダンスや動作は、単なるデモンストレーションではない。空間認識やトルク制御、動的バランスといった中核技術が連動した成果であり、実際の利用現場を通じて蓄積された技術力の表れだ。
北京人型ロボットイノベーションセンターが出展した「具身天工」シリーズは、部品の仕分け作業や長時間の自律移動など、産業現場を想定した能力を示した。このシリーズは昨年、人と並走してハーフマラソンを走ったことで知られ、急速な進化が話題となった。
工場の製造現場や無人巡回、エンターテインメント、施設案内まで、中国には人型ロボットを試せる多様な利用シーンが存在する。こうした豊富な実証の場が、技術を磨き上げる土台となり、中国企業が海外市場に挑む際の強みになっている。
松延動力(Noetix Robotics)の共同創業者、張世璞(Zhang Shipu)氏は、北米や欧州、中東、東南アジア、日本・韓国を重点地域とし、年内に1000台規模の市場展開を目指す考えを示している。
技術基盤のもう一つの特徴が、オープンソースを軸とした開発姿勢だ。今回のCESでは、中国の新興企業、智元ロボットが、大規模言語モデルを活用したオープンソースのシミュレーション基盤「Genie Sim 3.0」を発表し、関連データも公開した。開発者が構想をすぐに検証できる環境を整える狙いがある。従来主流だったクローズド型の開発に比べ、オープンな仕組みは改良や共有が進みやすく、業界全体での技術進化を促す。
北京市工商連副主席で振興国際シンクタンク理事長の李志起(Li Zhiqi)氏は、こうした取り組みが世界の技術力を引き寄せ、国際的な影響力を持つ成果を生み出す可能性があると指摘する。
市場調査会社オムディア(Omdia)によると、2025年の世界の人型ロボット出荷台数は約1.3万台で、その約80%を中国企業が占めた。量産で先行できている背景には、国内に整った産業基盤と、長期的視点に立った産業政策がある。
2017年に人工知能(AI)が政府の重要政策として位置づけられて以降、上海市や杭州市(Hangzhou)、蘇州市(Suzhou)などを中心に関連支援が進められてきた。李志起氏は、今後のAI分野では、個々の技術の優劣よりも、産業全体としての完成度や持続力、自立性が競争力を左右するとみている。CESで見えた中国ロボットの成長は、そうした基礎体力が着実に積み上がっていることを示している。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件
