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中国製のお掃除ロボット 世界で拡大

石頭科技が開発した、階段を上れる掃除ロボット「G-Rover」=提供写真(c)CNS

石頭科技が開発した、階段を上れる掃除ロボット「G-Rover」=提供写真(c)CNS

【CNS】最近、中国製の掃除ロボットへの国際的な注目が高まっている。階段を上りながら段差面まで拭き掃除する中国製ロボットが米国の家電見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(International Consumer Electronics Show、CES)」で披露され、その映像がSNSで拡散している。さらに、業界シェア6割超を長く握ってきた米国の「元祖」掃除ロボットメーカー「アイロボット(iRobot)」は破産後、中国の委託生産先(OEM)に引き継がれ、2026年2月に買収手続きが完了する見通しだ。「中国の技術」に活路を求める形となっている。

 階段を上れる、飛行できる、幅木を拭ける、ロボットアームを伸ばしてゴミを拾える、障害物を巧みに避けられる、ペットと遊べる……。中国企業が開発・生産する掃除ロボットは、機能の多さと“賢さ”が評価され、国内外の消費者に支持が広がっている。

 AIを組み込んだ製造技術、海外勢を上回る技術更新のスピード、利用者の不満点を突く現地ニーズ対応などを武器に、欧州、北米、日本・韓国、東南アジアといった市場で存在感を強め、かつて欧米ブランドが主導していた分野で勢力を伸ばしている。

 国際データ会社IDCの報告によると、2025年1~9月の世界のロボット掃除機出荷台数は累計1742万4000台で、前年同期比18.7%増だった。出荷台数の上位5社は、いずれも中国ブランド(石頭科技<Roborock>、科沃斯<コバックス、Ecovacs>、小米科技<シャオミ、Xiaomi>など)で、合計で世界シェアの約7割を占めた。世界で売れる掃除ロボット10台のうち7台が中国製という計算になる。

 以前、掃除ロボットは障害物回避が苦手で動けなくなることも多く、「賢くない」と揶揄され、消費者からは「祖先を家に迎えたみたいだ」と冗談交じりに言われたこともあった。だが、AIやLiDAR(Light Detection And Ranging、光による検知と測距)などの技術が搭載されるようになり、性能は大きく向上した。

 汚れの種類をAIで判別し、機械アームで隅を掃除し、モップの自動交換・洗浄、部屋ごとの清掃、最適な走行ルートの自動計画など、実用的で扱いやすい機能が増え、「手間いらずの家事の助っ人」になりつつある。

 CES2026で注目を集めた石頭科技の「G-Rover」は、短い「脚」のような車輪脚を2本備えた掃除ロボットで、左右それぞれが独立して伸縮・昇降する。階段など複雑な地形でも安定して移動し、清掃できるよう設計されており、長年の課題だった「階段掃除」に狙いを定めた。

 高級スマート家電ブランド「ムーバ(MOVA)」は、空を飛ぶ掃除ロボット「MOVA Pilot70」を発表した。ドローンと連携し、会場の模擬展示では1階から上昇して2階に着地。戸建て・メゾネット住まいが掃除ロボットを持って階を行き来する手間を減らすという発想だ。

 掃除ロボット市場に参入する企業は、石頭科技のような専門メーカーだけではない。ハイアール、ハイセンスといった従来型家電メーカーもAI時代の潮流に合わせて参入し、さらにドローン分野で知られる大疆創新科技(DJI)も異業種参入した。

 通販サイト淘宝(タオバオ、Taobao)のデータでは、DJIの掃除ロボット「Romo」は2025年後半の発売から3カ月で販売台数が1万台を超え、2025年の売れ筋ランキングにも入ったという。DJIはドローンで培った障害物回避や経路アルゴリズムに強みがあり、その技術が掃除ロボットにも生かされている。LiDARと二眼カメラによるSLAM技術は、人間の目に相当する役割を果たし、部屋全体の構造を把握しつつ、物体の形や種類まで識別できるため、清掃・乗り越え・回避といった動作を状況に応じて選べる。

 購入者の評価は「デザインが良い」「静か」「障害物回避が優秀」「清掃ルートが合理的」といった点に集中し、補助金適用後で3000元台前半という価格も相まって、コストパフォーマンスの高さが支持を集めている。

 技術革新への対応が遅れたことが、米国の「元祖」iRobotの衰退要因の一つとみられている一方、中国企業の技術更新の速さは外部から高く評価されている。消費者調査・小売モニタリング大手NIQ-GfKの関係者は、掃除ロボット分野で中国企業のイノベーション力と技術更新能力は強く、海外企業に比べて1~2世代先行していると指摘する。技術革新は機能追加の段階から、より高度な「具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)」へと向かっているという。

 別の報道では、製品の更新周期は中国が1~1年半、欧米は2~3年で、中国がこの分野を「高速更新型の産業」に変えたと分析している。中国製掃除ロボットが世界で売れている背景には、現地の生活環境や不満点に合わせて製品を作り分ける姿勢もある。日本では狭い住宅が多いことから、薄型ボディのモデルが賃貸住まいを中心に人気だ。湿度の高い東南アジア向けには、集じんとモップ洗浄を一体化し、乾燥機能まで備えたモデルが投入された。欧米の戸建て住宅では部屋の機能が多様なため、掃除ロボットがエリアを自動識別してモップを使い分け、汚れの「持ち込み」を防ぐといった工夫も進む。階段掃除を助ける製品も登場した。ペットを飼う家庭向けには、毛を回収しやすく、絡まりにくい設計のモデルを開発するなど、用途別に幅広い選択肢を用意している。

 中国の主要メーカーは、単体製品の技術革新と海外展開で一定の地位を固めつつあり、現在は家全体の清掃を統合するプラットフォームづくりや、スマートホームの制御中枢を担う方向へと動き始めている。将来のスマートな暮らしを主導する存在を目指す構えだ。【翻訳編集】CNS/AFPBB News

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