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上海のAI「スーパー起業家」 1人で千軍万馬

中国のAI関連施設で展示される人型ロボット=2025年12月4日撮影・資料写真(c)CNS:泱波

中国のAI関連施設で展示される人型ロボット=2025年12月4日撮影・資料写真(c)CNS:泱波

【東方新報】AIスキルの高度化を背景に、上海市では「一人会社(OPC=One Person Company))」に代表される超小規模の起業が広がっている。OPCは、1人またはごく少人数で運営する軽量な起業形態を指し、AIツールの活用によって、1人でもチーム並みの成果を生み出せる点が特徴だ。

 こうした環境の下、AI時代の「スーパー起業家」が次々と現れている。上海無尽夢科技の創業者3人は、起業前は大企業でAI関連プロダクトに携わっていた。勤務後の時間を使い、ウェブ開発ツールでAIの対話型ゲームを開発したところ、低コスト・低コードでも製品化でき、利用者からも好評を得たという。昨年12月末に退職し、現在は本格的な製品開発を進めている。

 AI教育プロダクト「Lingohow」の共同創業者、孔祥宇(Kong Xiangyu)さんは、OPCの強みを「柔軟で、試行錯誤しやすい点」にあると話す。市場に出して反応が乏しければ、短期間で方向転換できるため、経験と方法論があれば次の挑戦につなげやすいという。

 上海律生万物科技の創業者、張可訢(Zhang Kexin)さんも、「一人会社」は大企業に比べて身軽で、経営者自身がAI技術を深く理解していれば、素早く試しながら業界の動向を捉えられると指摘する。

 上海構序科技の創業者、丁軍滔(Ding Juntao)さんは、スーパー起業家の特徴として、1人で複数の役割を担えることと、少人数ゆえに管理コストが低く、意思決定が速い点を挙げる。

 起業家たちは、AIの波が本格的に押し寄せる今こそ好機だとみる。教育、医療、法律など、応用分野も多岐にわたる。1997年生まれの丁さんは、「モバイルインターネットの成長期を外から見てきた経験があるからこそ、AIが社会に実装されるこの局面は逃せない」と語る。

 上海燧月智能科技は、オープンソースの活用を支える技術基盤の構築に取り組む。創業者の彭孜勉(Peng Zimian)さんは、最近注目を集めるOpenClawもオープンソースから生まれ、短期間で世界的に知られる存在になった点に注目する。「AIはオープンソースの使い方を変え、専門家でなくても高度な機能を使える時代を開く」と話す。

 上海には中国のAI専門人材の約3分の1が集まり、起業家コミュニティも形成されつつある。市当局によると、徐匯区や浦東新区ではOPC企業の誘致を進め、ワークスペース支援や記帳代行、法務サービスの提供などで起業を後押ししている。

 上海市AI産業協会の鐘俊浩(Zhong Junhao)事務局長は、「スーパー起業家が成長できるかどうかは、最終的に事業として収益が回る仕組みを作れるかにかかっている」と指摘する。その点で、意思決定が速く、ビジネス機会が集まりやすい上海の環境は、大きな強みになっているという。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件