
アップルのティム・クック氏。6月8日、米カリフォルニア州クパチーノで撮影。REUTERS/Carlos Barria
[8日 ロイター] – 米アップルは8日、年次イベント「世界開発者会議(WWDC)」で、音声アシスタント「Siri」に強力な人工知能(AI)基盤を搭載した、待望の進化版を発表した。拡張された子ども向け安全ツール、および同社のエコシステム全体にわたるソフトウエアの刷新も打ち出した。WWDCで発表された主な内容は以下の通り。
◎Siri AI
アップルは、パーソナルな文脈の理解、画面上のコンテンツの分析、ウェブ検索、画像の理解、そしてアプリをまたいだタスクの実行を可能にするAI基盤「Apple Intelligence(アップル・インテリジェンス)」によって強化された「Siri AI」を発表した。このアシスタントはより会話がスムーズになり、ユーザーは以前のやり取りを引用したり、より長い対話を行ったりできる。
デバイス間で会話を振り返り、アップルのプラットフォーム全体に統合された視覚的知能や執筆ツールを使用することが可能で、Siri専用のアプリも導入された。
Siri AIのベータ版は年後半に投入予定。当初は欧州連合(EU)内の基本ソフト「iOS」では利用できず、中国でもアップルが規制要件への対応を進めているため、その間はSiri AIやその他の新しいApple Intelligence機能は利用不可能となる。
◎次世代Apple Intelligenceとアプリへの統合
アップルは、グーグルのAI「ジェミニ」の技術との提携を通じて開発された、更新版の基盤モデルに基づく次世代の「Apple Intelligence」を公開した。これらのモデルは、ユーザーのデバイス上と、アップルが構築した安全なAI専用クラウド基盤を通じて実行され、推論能力、画像理解、および画像生成機能の向上を実現する。
またプライバシーを第一に考える方針を強調し、Apple Intelligenceを通じて処理されるユーザーデータは保存されず、同社がアクセスすることもできないとしている。
Apple Intelligenceは、ウェブブラウザのSafari、メッセージ、メール、カレンダー、電話などのアプリに統合され、タブの自動整理、ウェブページのモニタリング、自然な言葉によるイベント作成、通話中の文脈に応じたアシスタント機能などが利用できる。
さらに、ホームおよびショートカットアプリにもApple Intelligenceが追加され、防犯カメラ映像をAIがまとめたり、録画クリップを自然な言葉で検索できたり、単純な文章の指示による家電などの自動化が可能となる。
◎子ども向け安全機能
アップルは子どもの安全を守るためのアダルトサイトの閲覧制限、年齢に合ったメディアとアプリストアのコンテンツの表示などの保護策を自動的に有効にする強化された子ども用アカウントを導入した。保護者は、子どもが使用できるアプリを承認済みのものだけに制限することもできる。新しいウェブサイトを閲覧する前に、子どもが保護者の承認を求める必要がある機能も追加された。
通信の安全性機能が拡張され、従来の裸体表現を含むコンテンツに対する保護に加え、残虐な表現や暴力的なコンテンツを含む画像や動画を警告し、ぼかしを入れる仕組みもある。
保護者はアプリの使用スケジュールの設定、デバイス使用時間の許容範囲の管理、および子どものデバイス使用状況の監視を行うことができる。
◎Image PlaygroundとAI写真編集
文章入力から写実的な画像を生成したり、写真を異なるスタイルに変換したり、ユーザーの写真ライブラリ内の人物を使って画像を作成したりできる、刷新された「Image Playground」が公開された。
不要物を削除する「クリーンアップ」機能、画像の境界線を広げる「拡張」ツール、撮影後に写真の構図を調整できる「空間リフレーミング」など、新しいAI搭載の写真編集ツールも導入された。
◎Liquid Glass
アップルは、ガラスのように透明で立体感のある画面デザイン「Liquid Glass」を自分で調整できる新しい機能を追加した。また、画面の背景の層を追加してアプリのアイコンがより鮮明になり、視覚的に際立つようになるとしている。