国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2026」では、公式サイドイベントが多数開催されている。株式会社DG Daiwa Ventures(DGDV)は2日、ホテルオークラ京都にて「Global Next 2040 世界のテックトレンド × 日本の戦略17分野 ──政策・産業創出の実務者たちが語る、日本が賭けるべき次の一手」と題した参加者限定のイベントを開催した。
当日は「世界のテックトレンド × 日本成長戦略17分野」をテーマに、政策や産業創出の実務者たちが登壇し、様々な知見を披露した。内閣官房 日本成長戦略本部が策定する「戦略17分野」に関連するスタートアップ政策の動向や、グローバル市場を見据えた最新のテックトレンドを俯瞰しつつ、2040年に日本発の事業が、世界で勝ち抜くための条件が提示される貴重な機会となった。
複数のセッションの中でも、内閣官房日本成長戦略本部事務局の菅原義剛氏が登壇したセッションは、まさに時宜を得た話題とタイミングで、一層の注目を集めた。
重要国家戦略ゆえ、その詳細な内容を壇上ですべて語ることはできない。この日のプレゼンテーションは、日本経済の現状認識と政策の進捗状況、および概要の紹介が主体だった。
戦略17分野には、2040年までに370兆円の官民投資が行われることになっている。当然、スタートアップの関係者は、この巨大投資の一端が自身にも届き成長のエンジンとなり、エコシステム全体が潤されることを期待している。
スタートアップ政策にも深く関わりを持つ菅原氏は、この日の講演の中で「スピード」「グローバル」、そして「大企業連携」が今後、スタートアップ成長の重点であると語った。日本のスタートアップにおいて、「スピード」と「グローバル」はこれまでも課題として挙げられてきた。2040年までの時間軸から逆算し、いつまでに何を作り、どこへ進出すべきかという実装・設計をより加速すべきだと菅原氏は強調した。
さらに、菅原氏が「古くて、新しい課題」だと述べたのが大企業との連携だ。当然のことながら政府からの投資は大企業に傾斜しがちだ。370兆円のお金がそのままスタートアップに注がれるわけもない。そもそも戦略17分野の中には、スタートアップの主要な進出領域と重ならない分野もある。また、「AI・半導体」「防衛産業」「創薬・先端医療」のように、スタートアップ単独では太刀打ちできない領域も多い。そうなると、スタートアップは自ずと大企業との連動が必要になる。
しかし、大企業や既存の事業会社との協働、いわゆるオープンイノベーションは、その必要性が叫ばれながらも成功例が少ない。大企業とスタートアップの速度感の違いや、対等なパートナー意識を醸成する難しさなどの課題はあるが、それらを克服しつつ、諦めずに協創関係を広げていく必要がある。
スタートアップ育成・支援を促進するため、国や地方自治体の調達がスタートアップにも開放され始めている。こうした機会は、それはそれでしっかりつかむと同時に、大企業との連携への努力がスタートアップには継続的に求められる。そしてそれはスタートアップ側の努力だけが求められるものではない。
大企業の側も、新たな試みを行う際にはスタートアップとの協業を視野に入れる、研究開発のパートナーとしてスタートアップへの資金、技術のサポートを恒常的に行うなど「そういうところでスタートアップとの連携を深めていくことを、今後は詰めていってほしいなと思います」(菅原氏)
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「スタートアップ育成は重要だ」という点において、政官の認識は一致している。しかし、実際の投資や調達の現場となると、それが優先的にスタートアップへ流れてくるという訳ではない。では、どうすればいいのか。その解のひとつが、大企業との協業だろう。戦略17分野における投資の流れをスタートアップエコシステムにつなげるために、大企業とのパイプを太くする。そうした「したたかな戦略」が、今スタートアップ側に求められているように感じた。
