[東京 28日 ロイター] by Maki Shiraki – 中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は28日、軽自動車のEV「ラッコ」の最も安い基本グレードを214万5000円(税込)で発売すると発表した。国の補助金は15万円で、実質負担額は199万5000万円と200万円を切る。
ライバル車の1つである日産自動車の軽EV「サクラ」は244万8600円からで、国の補助金58万円を引くと実質負担額は186万8600円からとなる。
販売・整備体制や部品の供給安定性などを考慮して決まる補助金分を考慮すると日本車が優位となるが、「ラッコ」の価格は軽EVの中では最安となる。
ラッコは日本独自の軽規格に合わせて設計。売れ筋の背高ワゴンで、狭い駐車場でも乗り降りしやすく足をかざして開閉できる電動スライドドアを軽EVで初めて採用した。同社が特定の国に特化した乗用車をつくるのは初めて。BYDによると、2023年の乗用車投入以来、国内販売は累計約1万台となるが、当初の想定からは伸びが遅く、6車種目のラッコで挽回したい考え。
ラッコは3グレードで展開。上位の価格は239万8000円、最上位は249万7000円。基本グレードも含めて「収益を確保した戦略的な価格に設定にした」(同社広報)。基本グレードの航続距離は210キロ(サクラは180キロ)で、上位2グレードは320キロ。全グレードで先進運転支援システムを標準装備し、スマートフォンのように無線で車載ソフトウエアを更新して購入後も機能を追加できる(OTA)ようにした。
日本販売を担うBYDオートジャパンの東福寺厚樹社長は「多くの人が求めやすいと感じるような価格帯を実現した」と説明。「ラッコをフックにブランドの認知拡大を図り、ラッコを新しい軽の定番にしたい」と語った。年内に受注1万台を目指す。
BYDジャパンの劉学亮社長は「年内、来年早々にも47都道府県に販売店を設けたい」と述べた。販売店数は7月末時点で正規店が56店、開業準備中も含めると77拠点となる。
自動車を中心とする中国産業に詳しいみずほ銀行の湯進・上席主任研究員は「価格を見て、攻める本気度が分かった」と指摘。BYD副総裁に今春昇進した劉氏としても「(目標の)1万台は絶対に売らなければいけない(数字)」とし、まずはこの値段で反応を見て、売れ行きが悪ければ調整する可能性があるほか、価格を維持しつつ装備を追加したり、販促施策を打つことも考えられると話した。
立花証券の庵原浩樹アナリストは、価格の割に「装備は充実しているが、地方の顧客は耐久性も求める」とし、整備の体制や下取り価格も今後の売れ行きに影響するとの見方を示す。
