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中国、気象予測にAI活用 従来型モデルを補完

10日、台風13号(ドルフィン)の影響で豪雨に見舞われた上海の様子。REUTERS/Go Nakamura

10日、台風13号(ドルフィン)の影響で豪雨に見舞われた上海の様子。REUTERS/Go Nakamura


[上海 11日 ロイター] by Casey Hall Chenxi Yang – 台風13号(ドルフィン)が中国に接近する中で、中国気象当局による進路監視では、従来の気象予測システムと並んで新世代の人工知能(AI)気象モデルが活用された。AIを活用した気象予測分野で、中国が主要なプレーヤーとして台頭していることを改めて示した。

 中国で開発されたAI予測システムには、上海AI研究所が開発した「風烏(Fengwu)」、華為技術(ファーウェイ)の「盤古(Pangu)」、復旦大学の「伏羲(Fuxi)」などがある。研究者らによると、これらは従来の予測システムに比べてはるかに短時間で予報を作成でき、一部の精度指標では同等かそれ以上の性能を持つ。

 これまで気象予測は、スーパーコンピューター上で大気の物理現象をシミュレーションする数値予報モデルに依存してきた。だがAIモデルは膨大な過去の気象観測データからパターンを学習し、以前より大幅に短い時間で予測結果を導き出すことができる。 東アジアの台風シーズンではAI技術の実用化が進んでいる。台風の進路予測がわずかでも向上することで期待されるのは、行政当局による洪水対策や避難計画の策定、交通混乱への対応の役に立つことだ。

 AIによる気象予測の発展に伴って技術企業や研究機関、気象機関の間では新たな競争も生まれており、中国はこの分野をリードする存在の一つとなりつつある。 世界的に知られるAI気象予測システムには、米グーグルの「グラフキャスト(GraphCast)」と「ジェンキャスト(GenCast)」、米エヌビディアが支援する「フォーキャストネット(FourCastNet)」、欧州中期予報センター(ECMWF)の「AI予報システム(AIFS)」などがある。

 風烏は、開発チームが公表した評価結果で、約80%の気象変数についてグラフキャストを上回る性能を示したとされる。また有効な全球中期予報の期間を10日超まで延ばしたことでも注目を集めた。風烏の産業利用を担うテックウィンドの最高技術責任者(CTO)は「異常気象が増える環境にあって、人々は意思決定のための情報を必要としている。地方政府や中央政府だけでなく、一般市民、農家、漁業従事者も同様だ。より良い情報を提供し、人々の判断を支援したい」と述べた。

 AIシステムは、予測速度の速さや計算コストの低さから、従来の気象予測を補完する存在として重要性を増しているが、近い将来に従来型の気象モデルを完全に置き換える可能性は低いとみられている。

 同CTOによると、AIモデルは既に台風の進路予測で高い能力を示している。風烏は、ドルフィンの中国本土上陸の5日前の時点で、上陸時刻を30分以内、上陸地点を30キロ以内の誤差で予測した。一方で暴風雨の勢力予測では依然として従来モデルに及ばず、大規模な気候変動現象の予測についても十分な実績はない。

 AI気象予測技術の高度化が進んでいても、当面はAIモデルと従来型の数値予報モデルが並行して活用される見通しだ。