[クパチーノ(米カリフォルニア州) 9日 ロイター] by Stephen Nellis Kenrick Cai – 米アップルは9日に開いた新製品発表会で、パスポートのように開閉できる新型折り畳み式iPhone「Duo(デュオ)」を発表した。価格は1999ドル。数年ぶりに主力製品を大幅に刷新し、そのデザインとデータのプライバシー保護をアピールすることで、先行する競合他社の追撃を目指す。
この日のアップル株は0.28%安で取引を終えた。
デュオは、サムスン電子や中国のファーウェイ(華為技術)など、これまで市場を独占してきた企業の勢力図を塗り替える可能性がある。これらの端末はニッチ層以上に広がるのに苦戦してきた。アナリストは以前から、アップルの参入が折り畳み端末に必要な起爆剤となり、スマートウオッチやワイヤレスイヤホンで実現したように、この形態を主流に押し上げる可能性があると指摘してきた。
デュオはパスポートほどの大きさと形状で、角は丸みを帯びている。端末を開くと横長のワイドスクリーンになり、縦向きでも利用できる。折りたたんだ状態では前面に小型の単一ディスプレーを備えており、アップルによると、展開時の厚さは同社製スマートフォンで最も薄い。ただし、中国勢の折り畳み端末よりは厚い。
アップルの主力製品であるiPhoneにとって、2017年にiPhone「X」で物理的なホームボタンを廃止して以来、最も大幅な刷新となる。
今回の新製品発表会はジョン・ターナス新最高経営責任者(CEO)の下で初めて開かれた。ターナス氏は、iPhoneを個人向けのAI(人工知能)ハブとして位置付けた上で、プライバシー重視の姿勢を強調。「自分のデータを自分で管理できなくなれば、信頼にも限界がある」とし、「だからこそ、(同社のAI機能)アップルインテリジェンスは可能な限り端末上で動作する」と述べた。
またターナス氏は、先行する他社の折り畳み端末について、扱いにくく、スクロールや動画視聴といった一般的な作業に適していないと指摘。デュオは独自のヒンジ(蝶つがい)、一貫したアスペクト比を持つ2つのディスプレー、チタン製の筐体(きょうたい)により、ポケットサイズの端末でiPadのような体験を提供するよう設計されていると述べた。「全く新しいものであると同時に、驚くほど親しみやすい。パスポートに近い大きさで、手にした感触も慣れ親しんだもので、片手で快適に使える」と語った。
高い市場シェア確保か
IDCなどの調査会社は、アップルが生産できる限りの折り畳みiPhoneを完売し、27年末までにこの収益性の高いニッチ市場で40%のシェアを確保すると予想している。
IDC・EMEAのデータアナリティクスデバイス担当バイスプレジデント、フランシスコ・ジェロニモ氏は「アップルは他社より数年遅れたにもかかわらず、参入するや否やルールを定めた。アップルは折り畳み市場に参入し、たった1回の基調講演で、今後全ての競合他社が比較される価格と基準を打ち立てた」と指摘。
「本当の戦いは中国だ。中国ではファーウェイが折り畳み市場のほぼ80%を握っている。アップルは中国の消費者に注目する理由を与えた。ファーウェイは現在、中国の折り畳み市場を支配しているが、アップルは中国の消費者に対して、初めて真に説得力のある再考の理由を差し出した」と語った。
調査会社PPフォーサイトのアナリスト、パオロ・ペスカトーレ氏も「アップルは新たなプレミアム市場での成長機会を生み出し、別の収益源を開拓し、iPhone事業に新たな勢いを注入した」と述べた。
アップルによると、デュオはディスプレーを駆動する「A20 Pro」半導体と、アップルが設計した新しい「C2」モデム半導体を搭載する。これはクアルコムの無線データ半導体からの脱却に向けた取り組みの一環。バッテリーは2画面併用で24時間持続し、約20分で50%まで充電できる。
アップルはまた、折りたたまない従来シリーズの最新モデルiPhone「18 Pro」と「18 Pro Max」も披露した。18 ProとPro Maxの価格はそれぞれ1199ドルと1299ドルからで、17 ProとPro Maxの開始価格から100ドル引き上げられた。
さらにアップルは、AIが生成・加工した画像を巡る懸念の高まりに対応する機能を発表した。新型18 Proのカメラで撮影した画像の真正性を証明するため、「アップルリファレンスイメージ」と呼ぶ新基準を導入。AIで作成・編集された画像を識別する新興基準「Synth(シンス)ID」にも対応するとした。ただし、アップルリファレンスイメージ機能はEUと中国では利用できない。
エアポッズとアップルウオッチも新型発表
合わせて発表されたワイヤレスイヤホンの新型「AirPods(エアポッズ)」は129ドルからで、廉価版では初めてノイズキャンセリング機能を備えた。加えて、アップルウオッチの「シリーズ12」と「ウルトラ4」も発表。フィットネスを測定する新機能や心拍数計測の改良を備えた、健康機能に重点を置いた大幅な進化と位置付けた。
発表会にはマイクロン・テクノロジーのサンジェイ・メロトラCEOも出席した。アップルがこうしたイベントでサプライヤーに目立った役割を与えるのは異例。iPhoneなどの製品にAI機能を追加するにつれ、高性能メモリーの需要が高まっており、特に世界的なメモリー半導体の供給不足を背景に、マイクロンなどサプライヤーの戦略的重要性が高まっている。
