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AIエージェント決済・運用の最前線:ステーブルコインが拓く未来〜「生成AIサミット(GenAI/SUM)2026」

ワークショップの様子(左からKomlock lab布目氏、JPYC岡部氏.、デジタルガレージ ジョナサン・ハガン、PacificMeta岩崎氏JPG

ワークショップの様子(左からKomlock lab布目氏、JPYC岡部氏.、デジタルガレージ ジョナサン・ハガン、PacificMeta岩崎氏JPG

 人間に代わって、自律的に仕事を済ませてくれるAIエージェントの機能が日々向上している。すでにアプリの作成などは簡単な指示を与えれば、AIがプログラムを書き、そこそこ気の利いた製品を仕上げてくれる。

 こうしたAIエージェントの活用の場は、仕事場から生活の場面にも広がり、近い将来には買い物や旅行の手配、さらには資産運用などにも利用されるようになるだろう。

 AIエージェントが自律的に経済活動を行う場合、その決済手段や決済に係るセキュリティーはどのようなものになるだろう。決済手段としては既存のカード決済やステーブルコインの利用などが想定されるが、それらをどう活用し、安全なエージェント決済を実現するのか。

 10月6日に東京・九段会館で開かれた「生成AIサミット(GenAI/SUM)2026(主催:日本経済新聞社)」でのワークショップ「あなたのお金はAIに任せられるか ~ 実装の最前線から語るエージェント決済・運用 powered by Pacific Meta Group」では、ステーブルコインやエージェント決済のサービスを手がける登壇者が、この先の決済はどうなるのか議論を行った。

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 モデレーターを務めるKomlock lab株式会社代表取締役の布目雅登氏の最初の質問は「AI が買い物を代行するようになった際、 最適な支払い手段は何か」だ。人がお店で買い物するように財布から現金を出して支払いすることはAIにはできない。

 金融業界で実績のある登壇者のジョナサン・ハガン(株式会社デジタルガレージ 執行役員 フィンテック事業システムアーキテクト担当/DGFT取締役Chief Architect上席執行役員)は、現在の状況について「今でもカード情報を直接AIに渡して決済を行わせることは可能だが、万が一問題が発生した際のリスクがあまりにも大きい」と指摘する。

デジタルガレージのジョナサン・ハガン

 その上で「現在、決済権限を整理・管理するための多様なプロトコルや仕組みが次々と発表されている。それぞれと向き合い、実証実験などを通じてどれがベストなのかを見極め、積極的に取り入れていきたい」と語り、エージェントコマースの決済・セキュリティ基盤の整備が進行中であるとの認識を示した。

 また、AIに買い物を任せる際の課題として、勝手に大量の商品購入をするといったような「暴走」や「不正利用」への対策も必要だ。現在、AIを使ったショッピングの大半は、決済前にAIが選んだ商品をユーザーに示し承認を受けその後、別の画面に誘導し人が決済を行うフローになっている。この先、ユーザーが直接操作しない「ヒューマン・ノット・プレゼント(人間が関与しない)」が普及することが予想されるが、その状態において、いかに安全性を担保するかが焦点となる。ジョナサンは「決済情報すべてをエージェントに直接渡すのは非常に危険だ。エージェントは限られた条件と環境下でしか情報を読み取れないような仕組みが必要になる」と解説し、一回限りの利用に限定したワンタイムカードなど使途や金額を制限した仕組みの重要性を強調した。

存在感を増すステーブルコイン

 カード決済に加えてもうひとつ、今後利用が拡大するであろうAI決済における支払い手段として、大きな注目を集めているのが「ステーブルコイン」だ。この日の登壇者のひとりJPYC株式会社代表取締役の岡部典孝氏によれば「もうすでに JPYC を使って AI エージェントが買い物をするは事例も出てきている」とのこと。

 セッションの中では、株式会社Pacific Meta代表取締役社長の岩崎翔太氏が、クレジットカードでは対応が難しい1円未満のマイクロペイメントや資産運用中の資金を必要なタイミングで決済に利用することが可能というメリットにおいて、ブロックチェーン上で稼働するステーブルコインが不可欠になると分析。「真の意味でのAIエージェント経済圏が成り立った時、ステーブルコインは不可欠なインフラになる」との持論も述べた。

 さらに、人間が介入せずAI同士が24時間365日超高速で取引を行う「機械間決済(マシン・ツー・マシン決済)」の世界においても、ステーブルコインの利用が不可欠であるという見解でも登壇者の一致が見られた。

 エージェントコマースが社会実装されるにあたって、課題となるのは加盟店側の対応になるが、その点についても話題が及んだ。

 個々の店舗がそれぞれ独自に、ステーブルコイン決済に対応することは難しい。それはカード決済の導入ですらなかなか進まない現状を見れば明らかだ。そこで、店舗側が暗号資産やステーブルコインのウォレットを直接管理するハードルを下げ、従来の法定通貨(日本円など)で売り上げを受け取れるような中間インフラの開発・提供が進められている。

「店舗側の負担を減らしつつ、ステーブルコインで払いたい消費者のニーズを満たす仕組みづくりに注力している」(ジョナサン・ハガン)

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 最後に、AIエージェント決済がもたらす今後の変化とインパクトについて問われたジョナサン・ハガンは、自身のキャリアを踏まえて次のように話した。

「自身がキャリアを始めた1990年代前半は、まさにインターネット時代の幕開けだった。今回のAIによる変化と転換期は、質こそ違えど、インターネットが登場した当時と同じくらい巨大なインパクトを社会とビジネスにもたらすと感じている」

 AIが自律的に経済活動を行う未来に向けて、技術的な課題解決とインフラ構築の取り組みは、本格的に加速することになりそうだ。

 

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