
スウェーデン王立科学アカデミーで6日撮影 REUTERS/Tom Little
[ストックホルム 6日 ロイター] – スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2026年のノーベル物理学賞を、ベルギー出身の素粒子物理学者フランシス・ハルツェン氏(米ウィスコンシン大学マディソン校教授)に授与すると発表した。授賞理由は「アイスキューブ・ニュートリノ観測所への決定的な貢献と、天体起源の高エネルギーニュートリノの発見」。
ハルツェン氏は、南極に設置した観測施設「アイスキューブ」での国際研究プロジェクトを主導した。
王立科学アカデミーのエバ・オルソン氏は記者会見で「(ニュートリノという)メッセンジャーは宇宙から情報を運んでくる」と述べ、「遠くの銀河への扉を開き、星が爆発する過程を教えてくれる」と語った。
ノーベル物理学委員会のマーク・ピアース委員長は声明で「ハルツェン氏は国際的な研究者・技術者チームを率い、素晴らしい観測装置をもたらしてくれた」とし、「その粘り強さと科学的な先見性が、新しい種類の天文学への道を開いた」とも語った。
ハルツェン氏は電話で記者会見に参加し、「自分がいかに幸運だったかを強調したい。このプロジェクトを始めた時、良いアイデアかもしれないとは誰もが思っていたが、うまくいくと考えた人はほとんどいなかった。私自身もそうだった」と語った。
ベルギーのデウェーフェル首相は、「宇宙の最も小さな現れを通じて、宇宙の最大の謎の解明にささげた人生」が認められたと称えた。
ニュートリノは地球や人体を跡形もなく通り抜け、物質とはごくまれにしか反応しないため、「幽霊粒子」と呼ばれることもある。ハルツェン氏は、南極点の氷を使えばニュートリノを追跡できることに気付いた。1988年、南極点でニュートリノの痕跡を捉えるという構想を初めて発表したが、プロジェクトの完成は2011年までかかった。
アイスキューブは、アムンゼン・スコット南極点基地の近くの地下深くにあり、5000個を超えるセンサーが設置されている。
高エネルギーニュートリノは質量がほぼゼロで、他の粒子と違ってエネルギーを失ったり方向を変えたりしない。アイスキューブはその信号を待ち受け、経路をさかのぼって発生源を突き止めることを目指している。
ハルツェン氏は6日の会見で、自身の研究で宇宙について具体的に何が分かるかを語るのは尚早とし、「本当にわくわくするのは、その質問にまだ答えられないことだ。これは科学の入り口にすぎず、天文学としての成果はこれからだ」と語った。
米スミソニアン誌は14年にハルツェン氏に「独創性賞」を贈った。その際、同氏を「ニュートリノマン」と呼び、「天文学の新時代の幕開けを告げる驚くべき実験」と称え、ハルツェン氏の半生を描いた漫画「一人の物理学者の宇宙探求はいかにして南極で飛躍したか(How OnePhysicist’s Pursuit of the Cosmos Took Off in Antarctica)」を掲載した。