【AFP=時事】スイス・ローザンヌ(Lausanne)にある保育園の3歳児クラスで、子どもたちが床に輪になって座り、「ナオ(Nao)」と呼ばれるロボットにキリンやブロッコリーについて質問している。
この子どもたちが大人になる頃には、スマートフォンと同じように、ロボットと触れ合うことが当たり前の世の中になっているかもしれないと専門家は言う。
スイス連邦工科大学(Swiss Federal Institute of Technology)の敷地内にある保育園「ナノスフェア(Nanosphere)」では、そんな未来を先取りしている。
同保育園はロボットの「ナオ」を今年初めに導入した。ナオは先生の代わりではなく「対話学習の仲間」だ。高さ58センチのナオは、まるで子どものような高い声で「こんにちは。僕の名前はナオ。今日もナノスフェアにいられてうれしいな」とクラスの子どもたちにあいさつした。「僕はみんなに会うために、自分の星から少し前にやって来たんだ。これからみんなと友達になって話ができるのを楽しみにしているよ」
ローザンヌで保育園や小学校を運営するエデュカリス(Educalis)グループの代表、オリビエ・ドゥラマドレーヌ(Olivier Delamadeleine)氏はAFPの取材に対し、「子どもたちの未来はどうなるのだろう。彼らはロボットと一緒に働かねばならなくなるのだろうか。おそらく答えはイエスだ」と話す。「私たちは保育・教育の現場にいるからこそ、子どもたちに早いうちからロボットとの共同作業に慣れてもらうことが大切だと思っている」とドゥラマドレーヌ氏は付け加えた。
保育園にロボットを導入することについて、子どもを預けている父親は、「新しい技術を使って子どもの成長を手助けする良い方法だが、賢く使うべきだと思うし、その使い方や適切な場所を見つけることが必要。ただ、面白いし、いずれにせよとても良い取り組みだ」と話した。
クラスに戻ると、イブ・レプラトニエ(Eve L’Eplattenier)園長と14人の子どもたちがナオを囲んで座っていた。
園長は「彼はみんなにいろいろと説明してくれるよ」と子どもたちに説明し、ナオにクイズを出した。「私は長い首を持つ動物です。私は誰でしょう?」 ナオが「キリンだよ」と答えると、子どもたちは声を上げて笑った。
レプラトニエ園長は、ナオと子どもたちの関わりについて「子どもたちはナオがロボットだということを分かっている。大人とか子どもとか人間のようには扱わず、しっかりと『これはロボット』と理解している。でも、大きな目のナオは親しみやすく作られているので、子どもたちはナオのそばにいたがるし、愛着を持っているのだと思う」と話していた。 映像は2月に撮影。【翻訳編集】 AFPBB News