紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3 Tsuchinshan-ATLAS)が、10月中旬頃から日本からも観測できそうだ。
この彗星は2023年1月に発見された。発見当初は、かなり明るい彗星になると思われたが、その後彗星の状況が変化し、当初期待されたほどの明るさにはならないものの、暗い空であれば肉眼でも観測できるかもしれない。
太陽に近づくにつれ、一時は「崩壊して消えてしまうのでは?」と危ぶむ声もあったが、9月28日(日本時間)に無事、近日点(太陽に最も接近)を通過し、10月13日(日本時間)には地球に最接近する。
国立天文台の『ほしぞら情報』の予想によると、明るさは1.5〜3等ほどが期待できる。しかし彗星が地球に近い位置に来る10月中旬は日の入り後、薄明かりの残る西の空の地平スレスレに現れるので、見つけるのが難しいと思われる。
10月下旬に向かうに従って、日の入り時刻は早くなり、夜空での彗星の位置は高くなるが、彗星がどんどん地球から遠ざかるため、明るさは衰えていくことになる。
東京での日没後1時間後の彗星の見える方位と高度をまとめた表(下図)を見ると、16日あたりになれば位置は申し分ないものの、明るさが衰えているので、彗星を見るには望遠鏡や双眼鏡が必要になりそうだ。