【KOREA WAVE】韓国ロボット業界の主要キーワードの一つは、ウェアラブル(着用型)ロボットだ。韓国国内でウェアラブルロボット専門企業が新興市場コスダックに上場し、一般消費者向けの製品も登場した。海外でも五輪の聖火リレーでウェアラブルロボットが紹介され、アウトドアブランドがロボット機能付きパンツを発表するなど、注目が集まった。
ウェアラブルロボットは文字通り「人が着るロボット」を意味する。市場はまだ形成初期段階だが、幅広い用途が期待されている。
これまで、歩行が困難な患者のリハビリ支援や、産業現場での筋力補助・保護に主に使用されてきた。日常生活では、精密な測定能力を活用して運動支援や姿勢矯正の役割が注目されている。今後、下半身がまひした障害者の歩行支援や、軍事分野で人間の身体能力を高めるツールとしての活用も期待されている。また、仮想現実(VR)と結合し、エンターテインメントやメタバース、ゲーム分野にも応用される見通しだ。
今年3月、韓国国内のウェアラブルロボット業界から初めてコスダック上場企業が誕生した。それが「エンジェルロボティクス」だ。
同社は2017年に韓国の理系最高峰大学、韓国科学技術院(KAIST)機械工学科のコン・ギョンチョル教授が設立し、当初はLG電子からシード投資を受けた。現在もLGやサムスンなど複数の企業とパートナーシップを進めている。
エンジェルロボティクスの主力製品は、2022年に医療機器3等級の品目許可を取得した「エンジェレックスM20」だ。患者がロボットを直接装着し、平地や階段などでの訓練を支援する。「歩行意図認識」 技術により着用者の意図を把握し、不足する力のみを補助することで、積極的なリハビリを促すのが特徴だ。現在、主要な医療機関に供給されている。
上場後、エンジェルロボティクスは市場攻略を本格化させている。大田(テジョン)に先行研究センターを設立し、新製品開発を加速させた。また、河南(ハナム)に製造施設を設け、大量生産体制を構築している。来年3月には軽量型リハビリ用ウェアラブルロボット「エンジェルスーツ」を発売し、販売網拡大を目指す。
4月には一般消費者向けのウェアラブルロボットも登場した。スタートアップ「ウィロボティクス」は歩行補助ロボット「ウィム」を発表し、機関向け(B2B)製品に続いて消費者向け(B2C)にも進出した。
「ウィム」は正しい歩行運動を助ける目的で開発され、軽量(1.6kg)で簡単に装着できる構造が強みだ。価格は319万ウォン(約34万円)と、一般消費者が購入しやすい価格帯に設定された。
大企業もウェアラブルロボット市場に参入している。現代自動車・起亜は産業用ロボット「エクスブルショルダー」を公開した。作業員の筋力を補助し、疲労を軽減する製品で、無動力構造により充電が不要な点が特徴だ。
サムスン電子はヘルスケア分野で「ボットフィット」の発売を準備中だ。関連特許や商標登録を続け、年初から試作品の量産計画も伝えられている。
海外でもウェアラブルロボットへの関心は高まっている。今年7月のパリオリンピック聖火リレーでは、フランスのパラリンピック選手がウェアラブルロボットを装着して歩く姿が話題になった。また、アウトドアブランド「アークテリクス」はロボットスタートアップと協力し、登山用ロボットパンツを発表。膝部分にモーターを搭載し、上り坂では筋力を補助し、下り坂では衝撃を吸収する機能が注目された。
来年以降、ウェアラブルロボットは医療、産業、日常生活など多分野で拡大が見込まれている。特に、エンターテインメントやメタバースへの応用が進めば、市場の成長がさらに加速するだろう。(c)KOREA WAVE/AFPBB News