【AFP=時事】ノートパソコンから電気自動車(EV)まで、リチウムイオン電池は21世紀の驚異的な成長を促進してきたが、産業界は火災リスクの増大という重大な欠点に悩まされている。
今年の世界最大級の家電見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、各企業はこうした非常に発火しやすいバッテリーを検出できるように設計された次世代ごみ収集車を発表した。
このイノーベーションは、スマートフォンや電動歯ブラシなどのバッテリーの不注意な廃棄が、ごみ処理施設で急を要する問題となる中で発表された。
米国では9日未明にも、ニュージャージー州のごみ処理施設で火災が発生。施設のオーナーは、バッテリーが原因の可能性が高いとの見解を示している。廃棄物処理企業リパブリック・サービスのジョン・バンダーアーク最高経営責任者(CEO)は、米国では業界全体で「毎年2、3件のごみ処理施設が焼失している」と指摘した。
リパブリックはCESで、工業製品企業オシュコシュが製造した、電池をふるいにかける最先端のごみ収集車というソリューションを披露した。この車は従来のごみ収集車に似ており、重量は約18.6トン以上、最大積載量は9トン。だが、完全な電気自動車で、ごみや資源ごみなどの積み荷の中に問題のあるものがないかを精査できる人工知能(AI)を搭載している。
リパブリックは既にごみ処理施設に検出システムを導入しているが、時折バッテリーを見落とすこともある。バンダーアーク氏によれば、見落とした場合、フォークリフトが小型バッテリーを踏んで発火することがあるという。だが、次世代ごみ収集車ならば、ごみ到着施設に到着する前に、バッテリーを含む収集物を取り扱いに注意を要する積み荷として運転手が認識することができる。
バンダーアーク氏は「それらを流れから取り除くことは、われわれにとって大きな価値がある」と語った。
オシュコシュのブースでは、ごみ収集を迅速化できる電動ロボットアーム技術や、リサイクル容器内のリサイクルできない汚染物質を特定するソフトウェアなども出展されている。
オシュコシュのジョン・ファイファーCEOは次世代ごみ収集車について、ごみ収集車の運転手の時間を有効活用できる運用データの宝庫だと説明する。
企業は汚染源を特定して顧客を教育したり、常習犯に罰金を科したりすることもできるという。
次世代ごみ収集車は、運転手がごみステーションにアクセスできない場合、証拠となる動画も撮影する。バンダーアーク氏は、「顧客が『なぜごみを収集してくれなかったのか?』と問い合わせてきても、われわれには動画という証拠がある」と語った。
同氏は、廃棄物処理はEVが特に適していると指摘。ごみ収集車は通常、1シフト当たりの走行距離が短いため、日常的にEVを利用するユーザーをちゅうちょさせることの多い航続距離の懸念がなくなるからだ。EVは走行音も静かなので、交通量の少ない早朝の収集も可能になり、夜間の充電機能によって運用上の即応性も確保できる。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件