2024大韓民国教育革新博覧会(c)news1
【KOREA WAVE】韓国政府が今年3月から本格導入を予定している人工知能(AI)デジタル教科書の利用料が、開校の2週間前にようやく決まった。教育省と教科書発行会社との交渉は長期化し、最終的に教育省がクラウド利用料の一部を負担することで合意に至った。しかし、1学期からAI教科書を導入する学校は全体のわずか30%にとどまり、地域による導入率の格差が顕著となっている。
教育省は20日、AI教科書76種のうち74種について発行会社と利用料の合意に達したと発表した。残る2種については引き続き協議中だ。
今回決定した年間購読料は、最低2万9750ウォン(約3200円)から最高5万7500ウォン(約6200円)と設定された。発行会社側は当初、より高額の価格を希望していたが、AI教科書の普及を最優先とし、最終的に合意に応じたと説明している。また、教育省は生徒1人あたり1万ウォン(約1100円)のクラウド利用料を支援することで、発行会社側の負担を軽減。これが交渉成立の鍵となった。
AI教科書導入の最大の課題は、低い導入率と地域間の大きな格差である。教育省の発表によれば、全国の学校のうちAI教科書を導入するのはわずか32.3%にとどまっている。地域別では大邱が98%と突出して高い導入率を記録した一方で、世宗ではわずか8%にとどまり、その差は90ポイントにも及ぶ。
教育省は「1学期の使用状況を見て関心が高まり、下半期には導入率が70~80%に達する可能性がある」と楽観視しているが、現場からは慎重な意見が多く、計画通りの普及は難しいとの見方もある。
AI教科書の導入には、教員や保護者の強い反発がある。ソウル教員労働組合が実施した調査では、教員555人のうち90%がAI教科書の導入に反対していると回答。大邱教員労働組合の調査でも、反対率は97.9%に達した。
保護者の懸念も深刻だ。教育省の調査によると、保護者の68.3%が「子どもがデジタル依存に陥るのではないか」と不安を抱いており、56.4%の教員も「AI教科書は教師と生徒のコミュニケーションの助けにならない」と回答した。
AI教科書は、個別最適化学習やデータ活用による教育の質向上を目的としているが、現場では「画一的な教育からの脱却」よりも、「学習の偏り」や「人間関係構築の阻害」といった問題点に対する懸念が強い。(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News|使用条件