月周回軌道上の米宇宙企業インテュイティブ・マシーンズの月着陸機「アテナ」。同社提供(2025年3月3日撮影)。(c)HANDOUT:Intuitive Machines
【AFP=時事】米宇宙企業インテュイティブ・マシーンズの月着陸機「アテナ」が6日、正常ではない角度で月面に着陸した。不完全な着陸は、昨年のミッションの再現となった。
ヒューストンを拠点とする同社は2024年2月、民間企業として初めて月着陸機「オデュッセウス」の月面着陸に成功したが、その瞬間は、オデュッセウスが着陸時に転倒したことで台無しになった。今回の2回目の試みで同社は、アテナをモンス・ムートン(ムートン山)台地に送り込んだ。この場所は、これまでのどのミッションよりも月の南極に近い。
月面着陸チームは、米東部標準時6日午後12時32分(日本時間7日午前2時32分)を目標としていた。確認作業が進む中、管制センターの緊張は明らかに高まっていた。
着陸予定時刻から20分後、同社の広報を務めるジョシュ・マーシャル氏はウェブ配信で「アテナが月面に到着した」と発表した。しかし、アテナの正確な状態を判断するため、データの分析が行われていると付け加えた。
その後、同社のスティーブ・アルテマス最高経営責任者(CEO)は、アテナが「正しい姿勢ではないと考えている」と認め、発電と通信が制限されることから、ミッションの成功に影響を及ぼす可能性があると付け加えた。
同社は、アテナのレーザー高度計の問題が月面着陸時の問題の一因となった可能性を示唆した。レーザー高度計は高度と速度の測定値を提供する。
月面着陸は極めて難しい。月には大気がないため、パラシュートを使用できず、着陸機は危険な地形の上を正確な推進と航行に頼らざるを得ない。
昨年のオデュッセウス以前に月面着陸という偉業に成功したのは、国家宇宙機関のみで、1972年に実施された米航空宇宙局(NASA)の最後の月着陸ミッション「アポロ17号」にさかのぼる。オデュッセウスは、着陸時の速度が速すぎたため転倒。太陽光パネルで十分な発電ができなかったため、ミッションは中断された。
2日には、米テキサス州を拠点とする宇宙企業ファイアフライ・エアロスペースが同社初の月着陸ミッションで「ブルーゴースト」の月面着陸に成功しており、アテナの成功への期待が高まっていた。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件