シャープの「ポケとも」東京おもちゃショーにて
「東京おもちゃショー2025」(主催:一般社団法人日本玩具協会)が8月28日から31日まで東京ビッグサイトで開催中だ(28日、29日は商談見本市。一般公開は30日、31日)。日本の玩具市場は、少子化や人口減の逆風にもかかわらず、2023年度に初めて市場規模1兆円を突破し、2024年度は1兆992億円とさらに成長を続け活況を呈している。その成長を牽引しているのは、大人向けのおもちゃ、いわゆる「キダルト」市場だ。
このトレンドを象徴する製品のひとつが、「日本おもちゃ大賞2025」のキダルト部門で優秀賞を獲得したシャープのコンパニオンロボット「ポケとも」だ。ポケともは、「一緒にいると毎日がもっと楽しくなるポケットサイズのおともだち」をコンセプトに開発された。第一弾はミーアキャットをモチーフにした可愛らしいキャラクターで、小型のロボットとスマートフォン用アプリで展開されている。
ロボットは身長約12cm、体重約200gと手のひらサイズで、身振り手振りで感情豊かに会話する。OpenAIのGPT-4o miniをベースに開発されたシャープ独自のAI技術「CE-LLM」により、ユーザーと会話を楽しむことができるだけでなく、ポケとも同士で会話をすることもできる。
呼びかけられた際の返事などは本体側(エッジ)で処理し、それ以外の対話はクラウドで処理することで、通信による遅延を感じさせないスムーズな応答が可能となっている。また、GPSなどのセンサーを内蔵しているので、ポケとも持って出かければ、その移動の“記憶”をもとに話題の幅を広げることができる。
「一緒にいる」ことが多い故に、プライバシーにも配慮されている。口の部分にはカメラが搭載されているが、「ちょっとみてみて」と声をかけるまでカメラは作動しない。
例えば、一緒にお花見に行って「ちょっとみてみて。桜が満開だ」とポケともにも桜を見せると、カメラでその画像は“記憶”される。そして翌週ふと思いついたように「先週見に行った桜はきれいだったね」と話しかけてくる。AIに「寄り添う役割」を求める人が世界中で増えているが、ポケともはまさに「寄り添うAI」にカタチを与えた商品だ。
11月に発売。本体価格は39,600円(税込)の予定だ。
「キダルト」市場の拡大は、ポケとものような精巧なAI製品だけが担っているわけではない。会場には、大人を唸らせる精巧なギミックや、懐かしいアナログの手触りを備えた製品がいくつも見られた。
「日本おもちゃ大賞2025」のバラエティ部門で優秀賞を獲得した、株式会社トイズスピリッツの「本当に録音再生!レトロminiCDプレイヤーマスコット」は、カプセルトイでありながら、ボタン操作で本当に録音・再生ができるという凝ったギミックが特徴だ。本体上部の蓋を開けてミニチュアCDをセットしないと動作しないなど、500円のカプセルトイとは思えない細部までこだわった作りが、大人の心をつかんでいる。
また、株式会社カワダの「ナンスピ」や「ロジカラ」といった製品は、「ポチっ」とボタンを押すアナログな操作感を残し、スマホアプリでもよさそうなゲームに、あえてアナログの手触りを残している。どちらも遊び感覚で集中力や記憶力を鍛えられる脳トレトイで、対象年齢は6歳以上とされているものの、近年は高齢者層にも購入者層が広がっているという。
玩具メーカーは、子どもの遊び道具という枠を超え、懐かしさや、高品質なギミック、そして脳トレのような大人のニーズを満たす製品を投入することで、新たな収益の柱を築き、それが市場の拡大につながっている。
玩具市場は、子ども人口の減少という構造的な課題に直面しているが、「キダルト」市場という新たな活路を見出し、今後も成長を続けると予想される。「ポケとも」のような、大人たちの心に寄り添う製品の登場は、その可能性をさらに広げるだろう。