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「死んだ?」見守りアプリが中国で話題

「死了么」アプリ関連報道のウェブページのスクリーンショット=提供写真(c)CNS

「死了么」アプリ関連報道のウェブページのスクリーンショット=提供写真(c)CNS

【CNS】2026年の年明け、中国のインターネット上で「死了么(死んだ?)」という名のアプリ(※報道時点ではすでに改名済み。本稿では便宜上、旧名称を用いる)が大きな話題を集めた。独居者向けに開発されたこの軽量型の安全確認アプリは、1月8日に中国本土のアップル(Apple)のアップストア(App Store)有料アプリランキングで首位に立った。その急速な広がりは、独居層への社会的関心の高まりと、孤独に向き合う若者の自己調整のあり方を映し出している。

 中国では、独居はすでに珍しい暮らし方ではない。統計によると、2022年時点で「一人世帯」は全体の16.77%を占め、2030年には独居人口が最大で約2億人、独居率は30%を超えると見込まれている。空き巣高齢者に限らず、仕事の内容や価値観の変化から、若者の間でも独居を選ぶ人が増えている。

「死了么」アプリの機能は極めてシンプルだ。アプリを起動し、氏名と緊急連絡先の連絡先を登録したうえで、毎日決まった時間にチェックインする。48時間連続でチェックインが行われなかった場合、翌日に設定した緊急連絡先へ自動でメール通知が送られ、利用者の安否確認を促す仕組みになっている。

 29歳の利用者、沈一然(Shen Yiran)さんは取材に対し、「実際の機能以上に、気持ちの支えになる点が大きい」と話す。独居生活では気分が落ち込むこともあり、このアプリは感情のはけ口としての役割を果たしているという。

 開発チームのメンバーによると、アプリ開発のきっかけは、SNS上で見られた独居者のニーズに着目したことだった。目的は、独りで暮らす人が日常とより前向きに向き合えるよう支えることにあるという。

 中国では一般に「死」という言葉を避ける傾向があるが、死は誰もが向き合わなければならない現実だ。死を正面から受け止めることで、今をよりよく生きられるのではないか、という思いが込められている。現在までに「死了么」アプリの利用者数は約1000倍に増え、評価額は約1億元(約22億7280万円)に達した。

 一方で注目が高まるにつれ議論も生じ、同アプリは1月15日、アップストアから一時的に削除された。議論の中心はアプリ名で、「縁起が悪い」として「活着么(生きてる?)」など、より温かみのある名称への変更を求める声もある。一方、支持者からは、率直な名称が独居者の「孤独死」という社会的課題を的確に突いているとの意見も出ている。

 このアプリの人気を受け、類似サービスも相次いで登場している。最近では「善言」という別のアプリに利用者が流入しており、これは簡易的に遺言を残せるツールとして、すでに2020年に注目を集めていた。また、「活着么」「報平安(無事を知らせる)」など、用途や感情面に配慮したアプリも次々と現れ、利用者の多様なニーズに応えようとしている。

 中国のインターネット産業アナリスト、張書楽(Zhang Shule)氏は、「独居人口、とりわけ一線・二線都市で忙しく働き、家族や友人と頻繁に連絡を取れない若者にとって、本当に不安なのは事故そのものより、事故が起きても誰にも気づかれないことだ」と指摘する。

 これについて沈一然さんは、「独居生活に伴うリスクを意識することで、かえって日々の暮らしを大切にするようになる」と話す。大都市で一人暮らしをしている以上、突発的な事故への不安は避けられず、心理面でも現実面でも、こうしたツールが不安の軽減や状況改善に役立つと感じているという。【翻訳編集】CNS/AFPBB News|使用条件