
写真は有人月探査「アルテミス2」の宇宙船「オリオン」が月の近くを飛行中、飛行士がニコンD5カメラと400mmレンズで撮影した地球。4月6日撮影。米航空宇宙局(NASA)提供。REUTERS
[ヒューストン 15日 ロイター]by Evan Garcia – 米航空宇宙局(NASA)の有人月探査「アルテミス2」で、11日に地球へ無事帰還した宇宙飛行士らがカメラに収めた見事な天体の輝き。彼らに撮影術を指南した2人の講師ですら、1人の人間として世の人々と変わらない深い感銘を受けたという。
NASAの写真・映像講師であるポール・ライチャート氏とカトリーナ・ウィロビー氏は、人類にとって半世紀以上ぶりとなる月への航海に先立ち、クルーに約20時間の特別指導を行っていた。2人の講師はともに名門ロチェスター工科大学(RIT)の写真科学プログラムの卒業生だ。
「ほとんどの人はカメラで十分な写真を撮ることができるが、科学的に『十分』では不十分だ」。ウィロビー氏はRITのニュースサイトでこう述べた。
ミッションに参加したビクター・グローバー飛行士によると、クルーの訓練には地上での演習も含まれており、暗闇につるされた巨大な空気注入式の月球儀を使い、宇宙船「オリオン」の実物大模型の内部から写真を撮る練習を重ねたという。
成功の鍵は、任務に適したツールを選ぶことだった。
クルーが使用した主力カメラは、2016年発売のデジタル一眼レフモデル「ニコン D5」だ。ライチャート氏によれば国際宇宙ステーション(ISS)で長年使用されており、放射線や宇宙旅行の過酷な環境に耐えることができるという折り紙付きだった。
「この機材には確かな実績があった」。同氏は14日、ヒューストンでロイターの取材に対してそう語った。「少なくともISSでの数年間の放射線照射量に耐えられることが分かっていたし、何の問題もなかった」
D5のもう一つの利点は、暗所での圧倒的な描写力にある。これは宇宙の漆黒の闇の中で鮮明な1枚を切り取るために不可欠なものだった。
アルテミス2ではさらに、多くのアマチュア写真家におなじみの撮影機材も使われた。iPhoneだ。ウィロビー氏によれば、「iPhone17 ProMax」は、今回のミッションにおける機材リストに後から追加されたものだという。スマホ特有の取り回しの良さは重宝されたが、高画質なあまりに画像のファイルサイズが肥大化し、限られた通信帯域を圧迫するという課題が残った。
「船内で常に頭を悩ませるのは、『どうやってこのデータを地上に送るか』ということだ」とウィロビー氏は語る。「あいにく宇宙には、十分な通信帯域がない。地球上の人々が当たり前のように享受している、『一瞬でデータを送れる環境』など宇宙には存在しない」
アルテミスの乗組員が撮影した中でも特に目を引く1枚に、月の裏側から撮ったものがある。月が太陽を完全に覆い隠し、黒い球体の周囲にかすかな光を放っている。その光は、そばで輝く星のまたたきさえも見えるほど淡いものだった。
クレーターが密集する月の裏側を驚くほど詳細に捉えた画像や、クルーが地球から記録的な距離まで離れたことで小さく見える地球が、月を周回する際に月の地平線に沈み、また昇っていく瞬間を捉えた画像もあった。
50年以上前のアポロ時代には、地球に帰還して現像するまでその出来栄えは分からなかった。だがアルテミス2のクルーらは、シャッターを切ったその場でデジタル画像を確認できるという恩恵を最大限に享受した。さらにはGoProによるライブストリーミング映像により、地上の多くの人々が宇宙探査のリアルタイムの映像を目にすることができた。
ウィロビー氏は6日の月周回飛行中、ヒューストンの管制センターに満ちていた高揚感が手に取るように分かったという。
「宇宙からの画像が確認され、公開されるにつれて、バックルームもフロントルームも興奮に包まれた。私たちは皆、とても興奮していた」。ウィロビー氏はそう語った。
クルーはD5のほか、ミラーレスカメラの「ニコン Z9」や、14-24mmズーム、80-400mmズーム、標準の35mmを含む数種類のレンズも使用した。